こんにちは、しけたむです!
この記事では
- 「デッキとテラスの違いが分からない。」
- 「ベランダとバルコニーの違いも分からない。。。」
という皆様に向けて、エクステリアのまぎらわしい語句について画像で解説します。
▼玄関まわりのエレメント・前編はこちらから!▼
建物に付随するエレメント
デッキ
出典:庭ファン
デッキとは、建物の周囲や庭(一般的にはリビングルームに隣接されることが多い)に、地面より高くして設置される床のことで、基本的に屋根はありません。
「デッキ」という言葉はもともと船舶の甲板などの広く平らな床を表していて、エクステリアにおけるデッキも、まるで甲板を作るかのように室内の床と同じか少し低いくらいの高さを持たせてややゆったりとした広さにすることが多く、「室内の延長」と見なされるのが一般的です。
(しかしデッキは必ずしも建物に付帯している必要はなく、とても広い庭などでは孤島のように(単独で)デッキを設けられることもあります。)
出典:ウッドデッキネット
▲かなり広い庭が必要だが、独立型のデッキもある。
また木造のデッキを「ウッドデッキ」、床の仕上げ材にタイルが貼られたデッキを「タイルデッキ」と呼んで区別されます。
▲土地の広いアメリカ郊外の住宅地では、大きなウッドデッキを見かけることが多い。
出典:LOUDOUN DECK
▲段差を生かしたウッドデッキ。DIY大国アメリカではウッドデッキを自作する人も少なくない。
デッキは雨風や紫外線の影響を受けやすいので、そられに強い素材を使用する必要があります。
ウッドデッキには油分が多く乾燥に強いチークや、「アイアンウッド(鉄の木)」という別名を持つほど硬いウリンやジャラなどの南洋材が使用されますが、非常に高価です。
そのため近年は天然木材に樹脂を混合した合成木材(WPC:Wood−Plastic-Composites)を使用するのが一般的で、耐久性も高いので店舗や公共施設などでも使用されています。
出典:PW
▲木材の素材感と樹脂の耐久性がミックスされた合成木材は「人工木材」とも呼ばれ、天然木材と比べて劣化がほとんど無くメンテナンス費用においてもメリットがある。上はどちらも合成木材で、左が滑り止めのためスリット(溝)を入れたもの、右が木目を模して意匠性を高めたもの。
出典:日建ホーム
▲日本の住宅地でよくみられる2階ウッドデッキ。開放的な空間を楽しむことができるが、条件によっては建築面積に含まれて建築基準法違反になる場合があるので注意が必要。
テラス
出典:タイムアウト東京
▲カフェやレストランのテラス席を思い浮かべるとイメージしやすい。
テラスとは、建物の外部に地面より少しだけ高く張り出した部分のことで、タイルやレンガが敷かれたり、コンクリートやモルタルで仕上げられることが多いです。
テラスはデッキと比べると一般的に高さを出すものではなく、庭の地面に直接タイルやレンガを敷くというイメージで「庭の延長」と捉えるという特徴があります。
(ただ最近はさまざまな設計がされていて、室内の高さに合わせたテラスもあるので、絶対ではありません。)
また基本的にテラスは1階に作られるもののことを指し、1階に作られたものでなければ「ベランダ(後述)」、もしくは「バルコニー(後述)」と呼ばれます。
出典:アルスホーム
▲中庭に作られたテラスは「中庭テラス」などと呼ばれる。
そしてデッキは屋根のないものを指すのに対し、テラスは屋根があるものもないものも指すという違いがあることも覚えておきましょう。
出典:Decoist
▲屋根付きのテラスは「インナーテラス」と呼ばれることも。デッキは「室内の延長」、テラスは「庭の延長」と捉える。
ベランダ
ベランダとは建築物の外側に張り出している部分で、柵やフェンスで囲まれていて庇(ひさし)や軒下に収まるもの、または屋根がかかっているものをいいます。
戸建て住宅では、ほとんどが2階、もしくは3階に設けられているベランダですが、賃貸住宅などの集合住宅においては1階にベランダが設けられることもあります。
出典:ウィングパサージュ
▲集合住宅では1階にベランダを設けることはよくある。
また、ベランダの周囲にガラスがはめ込まれた屋内環境のベランダもあり、このような部屋囲いがされたものはサンルームと呼ばれます。
出典:株式会社大興
▲ベランダにガラスサッシがはめ込まれたサンルーム。一般的な窓ガラスのサッシと同じように水密性、気密性に優れた構造となっているが、夏場はかなりの暑さになることも。
サンルーム
サンルームとは、日光を多く採り入れるために開口部を大きくとったり屋根や壁面をガラス張りにしてつくった部屋のことで、ベランダに限らずデッキやテラスにもサンルームを設けることが出来ます。
▲ウッドデッキに設置されたサンルーム。サンルームは室内と屋外の中間にあるので、外気の影響をやわらげて室内へ伝えるクッション材のような役割を果たす。夏は直射日光をやわらげて、冬は冷気が入るのを防ぐなど断熱効果が高まり、室内環境を快適に保つことができる。
出典:D’s Garden
▲テラスに設置されたサンルーム。サンルームの素材にはガラスだけではなく、衝撃性の強いプラスチック「ポリカーボネート」が用いられることも多い。
サンルームがあることによって差し込んだ光が隣接した部屋へも広がって、室内全体を明るく開放感のある空間になるのが特徴です。
またサンルームでは日光浴をしたり、天候や強風、花粉などを気にせず洗濯物を干すことだってできちゃいます。
出典:SUUMO
▲サンルームの一種にテラススペースを簡易的に囲った「テラス囲い」というものがある。リフォームなどで後付けも簡単で費用も抑えられるが、サンルームに比べると断熱性や機密性が劣る。
バルコニー
出典:幸せなくらし
バルコニーとは建物から外部に張り出した屋根なし手すり付きの開口部のことで、分かりやすく説明すると「ベランダに庇や軒、屋根がかかっていないもの」のことです。
バルコニーの中でも、下階の屋根の上に作られるバルコニーを「ルーフバルコニー」と呼び、最上階はシンプルに「屋上(おくじょう)」と呼びますが、屋上の使い方によって「ルーフバルコニー」や「屋上テラス」と様々な呼ばれ方をされます。
出典:アルファジャーナル
▲広いルーフバルコニーが用意されているマンション物件も多い。
バルコニーは、古代ローマ時代にはすでに使われていて、街路環境の悪化から一時的に規制された時代もありましたが、ルネサンス期を迎えると再び多くのバルコニー付きの建築物が建てらてました。
▲手すりのついた古代ローマ時代のバルコニーのスケッチ
▲ローマ市街に見られるバルコニー
縁側(えんがわ)
縁側(えんがわ)とは、日本建築に見られる建物周囲に巡らした板敷きの通路部分のことです。
庭などの外部から直接屋内へ上がる用途も持ち、その際は以下のような沓脱石(くつぬぎいし)を使って履き物を脱いで上がります。
▲くつぬぎ石は住宅用の小さなものから、寺社仏閣で見られるような巨大なものまで、サイズも石の種類もさまざま。
また縁側の幅(奥行き)は3尺(約91cm)程度が一般的ですが、4尺(約120cm)を超える広い幅の縁側を特に「広縁(ひろえん)」と呼びます。
出典:岡崎製材所
縁側は室内にありますが、もともとは室外、つまり建物の外周にウッドデッキのように設けられていました。
古くは奈良時代ごろにはこのような外周に取り付けられた縁側が見られ、建物内に設けられるようになるのは鎌倉時代以降になります。
このような建物外周に設けられた縁側は、現代では「濡れ縁(ぬれえん)」という名称で有名です。
▲風雨にさらされ濡れてしまうことから「濡れ縁」と呼ばれる。
濡れ縁は、もともとは「縁(えん)」と呼ばれていました。
時代と共に縁が室内で用いられるようになると、「入側縁(いりかわえん)」と呼んで区別され、次第に入側縁は「縁側(えんがわ)」と呼ばれるようになったというわけです。
▲書院作りの代表的遺構として知られる『勧学院客殿』には、濡れ縁と縁側が設けられている。
出典:TimeOut
▲東京都足立区にある古民家を改装してつくられた『縁側カフェ』。1939年に建設された建物は国の登録文化財にも指定されている。
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