どうも、しけたむです。
この記事では
- 「人間の行動特性とインテリア空間の関わりについて知りたい。」
- 「パーソナルスペースってよく聞くけど、ここらできっちり理解したい。」
という皆様に向けて、
人間工学の後編、人間の行動特性について画像できっちり解説します。
人間の行動特性を覚えよう
ポピュレーション・ステレオタイプとは?
▲ドアノブを目の前にして、あなたはどちらへ回して扉を開けますか?
インテリア空間のコーディネートや建築計画を行う上で意識しておかなければならないことに、人間の行動の癖(くせ)や心理的な条件などがあります。
人間の行動に見られる、ある程度共通した癖や行動特性のことを『ポピュレーション・ステレオタイプ』といいます。
例えば右利きの人に見られる「ドアノブは右に回せば開く」という行動特性は世界的にも共通してみられ、このような特性は「スピーカーのダイヤルは右に回せば大きくなる」などの操作機器の設計にも応用されています。
出典:なつおの部屋
▲操作機器のポピュレーション・ステレオタイプの一例。「右に回す、押す、上や右にずらす」と電源オン、増加、加熱、(ネジやボルトなどで)締めるという効果がある。
ポピュレーション・ステレオタイプは地域や民族により違いがあることもあり、また「右利き」と「左利き」の違いだけでも、かなり使い勝手が違ってくることも理解しておかなければなりません。
パーソナルスペース
アメリカの環境倫理学者のロバート・ソマーは、1969年に出版した著書の中で他人に侵入されたく無い空間である『パーソナルスペース』を提案しました。
パーソナルスペースとは、他人に近付かれると不快に感じる空間のことで「パーソナルエリア」、「個体距離」、「対人距離」とも呼ばれます。
意外かもしれませんが、一般に女性よりも男性の方がパーソナルスペースは広いとされていて、男性は人が前方にいるのを嫌い、女性は周囲から他人に見られるのを嫌う傾向がみられます。
出典:マイナビウーマン
▲男性のパーソナルスペースは、前方を集中して見る特性があることから前方に長い楕円形で、後ろや横の半径が短い形をしている。女性は視野が広く全体を見渡す特性があることから、前後左右が均等な円形をしている。
また、パーソナルスペース親密な相手ほど狭く(ある程度近付いても不快さを感じない)、逆に面識の無い相手などに対しては広くなっていて、社会文化や民族、個人の性格やその相手によっても大きな差があります。
出典:母さんは今日も世話を焼く
▲パーソナルスペースによって不快感を感じる距離の程度はひとそれぞれ。こちらの作品は「藤緒ミルカ」さんによる猫3匹と家族との日常を描いたブログより、Twitterもあり。
この「パーソナルスペース」という言葉は、たびたび「縄張り、領域」という意味の「テリトリー」という言葉と混同されることがありますが、パーソナルスペースは中心に居る人間とともに移動するものに対し、テリトリーは人間が移動してもその場に存在し続けるものです。
人と人との関わり合いの中での距離には、物理的な距離と心理的な距離があります。
1966年、アメリカの文化人類学者エドワード・ホールは、人間のコミュニケーションに関わる距離を以下の4つに分類しました。
- 密接距離(Intimate):最も親しい関係。体を密着させたり、手で触れ合える距離。
- 個体距離(Personal):親しい友人程度。相手の表情が詳しくわかる。
- 社会距離(Social):知らない人同士が会話をしたり、商談をする場合に用いられる距離。
- 公衆距離(Public):2者の関係が個人的なものではなく、講演者と聴衆と言うような場合の距離。
出典:B.I.C
▲嫌いな相手に対しては、距離に関わらず視認できるだけで不快に感じるケースもある
ソシオペタルとソシオフーガル
家族で集まったり、パソコンで仕事をしたり、カフェで休んだり・・・
人間が集団で行動する場合、目的に応じて様々な型を形成しますが、企業オフィスでの机の配置方法はその好例といえます。
例えば、常に社員同士のコミュニケーションが図られ、連絡や相談が頻繁に行われることによって社員が活性化するような業務では、お互いの顔を見ることができるソシオペタル型の机の配置が取られることが多いです。
一方、設計や製作といった個人での集中した仕事を行われるような部署では、お互いの顔が見えないソシオフーガル型の机の配置が見られます。
出典:SUVACO
▲オフィス以外でも、向かい合ってコミュニケーションがとりやすい状態の型をソシオペタル、互いに干渉することが無い状態の型をソシオフーガルという。
これらの配置は、イギリスの精神科医であるハンフリー・オズモンドが自身の精神病院の待合室に座っている患者さんを観察することにより考案されました。
ナンタルカのまとめ
■人間の行動特性
インテリア空間のコーディネートや建築計画を行う上で意識しておかなければならないことに、人間の行動の癖や心理的な条件などがあり、人間の行動に見られるある程度共通した癖や行動特性のことを(①)という。このような特性は各種操作機器の設計にも応用されている。
■パーソナルスペース
(1)環境倫理学者の(①)は、1969年に出版した著書の中で他人に侵入されたく無い空間である(②)を提案した。親密な相手ほど(②)は狭く、逆に面識の無い相手などに対しては広くなっている。また男性は人が前方にいるのを嫌い、女性は周囲から他人に見られるのを嫌う傾向がみられる。
(2)アメリカの文化人類学者(①)は人間のコミュニケーションに関わる距離を、ごく親しい人に許される距離感である(②)距離、親しい友人間の距離で相手の表情が詳しくわかる(③)距離、知らない人同士が会話をしたり、商談をする場合に用いられる距離感である(④)距離、2者の関係が個人的なものではなく、講演者と聴衆と言うような場合の距離感である(⑤)距離の4つに分類した。
■集団の中の配置のかたち
親しいもの同士などが向かい合って、コミュニケーションがとりやすい配置で座る状態を(①)、一方知らないもの同士やプライバシーが必要な場合など、視線が合わない様に異なる方向に顔を向け、互いに干渉することが無い状態を(②)という。
お疲れ様でした。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
わからないことや分かりにくい箇所があれば、ぜひお問い合わせよりご連絡ください。
次回もお楽しみに!
▼次回、椅子と机の寸法計画はこちらから▼