どうも、しけたむです!
この記事では
- 「グリッドプランニングってなに?文字で説明されてもよく分からない。」
- 「1尺ってどれくらいの長さなの?」
とお悩みの皆様に向けて、モデュラーコーディネーションの後編!
グリッドプランニングと尺貫法について画像で解説してゆきます。
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グリッドプランニングとは?
モデュールによって製品が規格されたとしても、それを用いて設計するには決められた約束が無ければ完成には至りません。
例えば、廊下の幅を1モデュール(910mm)に決めると言っても、それが壁の内側から内側までの「内法(うちのり)寸法」なのか、それとも柱の中心から中心までの「芯芯(しんしん)寸法」なのかを判断する必要があります。
出典:ハウ・ツウ・ライブ
▲「芯芯寸法」は「芯々寸法」と表記されることもある
日本の住宅は、下図のように910mm、または900mm間隔のタテヨコの格子状の線に「柱の心(しん:中心のこと)」を合わせて設計しています。
この格子状の線を「グリッド(グリッド線)」といい、このような設計方法「グリッドプランニング」といいます。
このようにグリッドは柱の位置を決めるための基準となりますが、家具や住宅設備などのエレメント(構成材)を置くための基準にはなりません。
柱を置き、壁を描き込んだ後、その壁の内側(室内側)がエレメントを置くための基準線となります。
▲グリッド線は1マス910mmが一般的。壁の内側である緑色の内法部分がエレメントを置ける範囲となる。柱や壁を設置するための基準として必要な線が「組立基準線」、エレメント(構成材)を置くための基準となる線が「構成材基準線」である。
シングルグリッドとタブルグリッド
シングルグリッド心押さえ
先ほどの図のように、1本の線で格子状にグリッドが描かれたものを「シングルグリッド」といいます。
また、シングルグリッドに柱や壁の中心線を合わせて配置する方法を「シングルグリッド心押さえ(しんおさえ)」といいます。
▲シングルグリッド線で「柱の心」を「押さえる」から「心押さえ」
このような柱の配置方法、どこかで学習したのを覚えていませんか?
そうです!これは「柱割(はしらわり)」ですね!
関東圏では伝統的に柱割で住宅が建てられていたため、この手法で構成された部屋を江戸間(えどま)または関東間(かんとうま)いいます。
シングルグリッド心押さえは設計手法としては容易ですが、柱の太さや壁の厚みによって室内の広さが変わるため、畳の大きさが敷く場所によって変わるなどエレメント(構成材)の完全な規格化には不向きでした。
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シングルグリッド面押さえ
シングルグリッドの線に、壁の面を合わせてゆく方法を「シングルグリッド面押さえ」と言います。
▲壁の面にシングルグリッドの線を合わせているので、室内の広さは「心押さえ」よりも広くなる。
室内の寸法が担保されるので、間仕切り家具など寸法精度が要求される特注家具を製作する場合に効果を発揮します。
ダブルグリッド
あらかじめ壁やパネルの厚みを想定して、ダブルの線で壁部分の領域をとったものが「ダブルグリッド(面押さえ)」です。
京都では、畳のサイズを一定にするために「畳割(たたみわり)」と呼ばれるダブルグリッドの設計手法が編み出されました。
そのため、畳割で構成された空間を京間(きょうま)または関西間(かんさいま)といいます。
この方法で設計すると、部屋の内法が常にモデュール寸法に従うため、構成材の標準化がしやすいというメリットがあります。
▲シングルグリッドは「江戸間」、ダブルグリッドは「京間」と覚えるとよい。
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日本の住宅のモデュール
日本の住宅では、伝統的に「尺モデュール(モジュール)」という「910mm」単位の基準寸法が使用されてきました。
海外の住宅では「フィートモデュール(約1,218mm)」や「メーターモデュール(1,000mm)」が基本なので、日本の住宅と比べると廊下や階段の幅にゆとりできるという特徴があります。
▲メーターモジュールを採用している海外の住宅平面図
日本の住宅でも大手ハウスメーカー「積水ハウス」や「トヨタホーム」を中心にメーターモジュールが増えてきていますが、まだまだ「910mm」や「900mm」を1モデュールとした設計法を採用している会社が圧倒的多数です。
それは、中国を起源とする日本古来の計測単位「尺貫法(しゃっかんほう)」が伝統的に使われ続けているからです。
尺貫法
尺貫法(しゃっかんほう)とは長さ・面積・質量などを表す単位系の一つです。
尺貫法という名称は、長さの単位に「尺(しゃく)」、質量の単位に「貫(かん)」を基本単位とすることによります。
この「尺」という長さの単位は東アジアで広く使用されていますが、「貫」という質量の単位は日本独自のものです。
出典:Flicker
▲昭和の体重計には「貫」の表記があった。ちなみに子供の悪口で「百貫(ひゃっかん)デブ」というものがあったが、お察しの通りこれは尺貫法からきている。
尺貫法では「尺(しゃく)」が長さの基本単位となります。
1尺のながさは「約303mm」であり、建築では「3尺=909mm」を略した「910mm」や「900mm」を1モデュールとしています。
したがって尺を基準とした下記の寸法を覚えておけば、日本の住宅に関わる様々な計測法が理解できるため、ここでしっかりマスターしておきましょう。
間(けん):1間=6尺(約1,820mm)=約1.65㎡
一般的な畳のサイズは「1,820mm × 910mm」なので、「1間 × 0.5間」と表すことができます。
坪(つぼ):1坪=1間(約1,820mm)×1間(約1,820mm)=約3.3㎡
1間は「長さ」でしたが、1坪は「広さ」です。
1坪は「畳2枚分」の広さになります。
出典:イーグル創建
▲1畳は「1間×0.5間=1.65㎡」、1坪は「1間×1間=3.3㎡」となる。この2つは面積計算をする際に頻繁に登場する数字なので、絶対に覚えておきたい。
丈(じょう):1丈=10尺(約3m)
寸(すん):1寸=0.1丈(約3cm)
畳の寸法
出典:伊藤たたみ店
一般的な畳のサイズは「1間×0.5間」となりますが、「シングルグリッド心押さえ」で造られた和室(江戸間)では、この寸法よりもやや小さくなります。
代表的な畳の種類には、以下のようなものがあります。
江戸間(えどま):1,760mm × 880mm
中京間(ちゅうきょうま):1,820mm × 910mm
京間(きょうま):1,910mm × 955mm
出典:伊藤たたみ店
▲「京間>中京間>江戸間」の順に小さくなる。京間は西日本で広く用いられ「関西間(かんさいま)」、「本間(ほんま)」とも呼ばれた。江戸間は長い辺が5尺8寸であることから「五八間(ごはちま)」、また「関東間(かんとうま)」や「田舎間(いなかま)」とも。中京間は横縦の大きさが3尺×6尺だったことから「三六間(さぶろくま)」とも呼ばれる。
このように、京間では1枚の畳の大きさが「1,910mm×955mm」と大きくなっているため、畳数が広くなればなるほど同じ畳数でも面積の差が大きくなります。
出典:OPEN HOUSE
▲さまざまな畳の種類を6畳の広さで並べると、こんなにも広さに違いが出る。公団間(こうだんま)は「団地間(だんちま)とも呼ばれ、高度経済成長期の鉄筋コンクリート構造の集合住宅で用いられるようになった小さな畳の規格寸法である。
京間、中京間、江戸間、団地間など様々な種類がある畳ですが、出来上がった部屋は多少なりとも誤差や歪みがあるため、実際に畳を敷く際には、畳業者が寸法を実測して製作するのが一般的です。
▼畳の詳しい解説はこちらの記事もチェック!▼
ナンタルカのまとめ
■グリッドプランニングとは?
(1)日本の多くの住宅平面図では、(①)と呼ばれる格子状の線に柱や壁の(②)を合わせて設計している。このような設計方法を(③)という。
(2)格子状のグリッドを(①)といい、柱や壁などの中心線に合わせて(①)を配置する方法が(②)である。この配置方法は日本の伝統的な柱の配置方法から(③)とも呼ばれ、この方法によって構成された部屋を(④)という。また(①)の線に、壁の面を合わせてゆく方法は(⑤)である。
(3)あらかじめ壁やパネルの厚みを想定して、ダブルの線で壁部分の領域をとったものが(①)で、京都では畳のサイズを一定にするために(②)と呼ばれる(①)の設計手法が編み出された。そのため、この手法で構成された空間を(③)という。この方法で設計すると、部屋の内法が常にモデュール寸法に従うため、構成材の標準化がしやすいというメリットがある。
■日本の住宅のモデュール
日本の住宅では(①)という「910mm」単位の伝統的な基準寸法が用いられていて、(①)は中国を起源とする日本古来の計測単位(②)がもとになっている。(②)では、約(③)mmの「尺」が長さの基本単位となっていて、(①)では3尺を略した(④)mmを1モデュールとしている。また1間の長さは(⑤)mm、(⑥)の大きさは畳2枚分というのも覚えておきたい。
お疲れ様でした。
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