こんにちは、しけたむです!
この記事では
- 「インテリアコーディネーター資格試験で1点でも多くの点数を取りたい!」
- 「これからバリアフリー工事をしようと考えている。」
という皆様に向けて、
エクステリア 、玄関、階段のバリアフリー計画について画像で解説します。
空間別バリアフリー計画
住宅のバリアフリー化は高齢者が可能な限り自立した生活を送ることを目的としています。
そのためには、安全性・移動容易性・快適性・人との触れ合い(閉鎖的にならないこと)などが求められ、その中でも特に安全性・移動容易性はインテリアによって大幅に改良できる要素となります。
エクステリアのバリアフリー計画
アプローチの階段とスロープ
出典:イーガーデン近藤
多くの場合、アプローチから玄関へ向かう際にはポーチなどの段差が存在し、場合によっては何段かの階段が設けられていることがありますが、健常者には気が付かないほどのわずかな段差が車椅子では大きな障壁となります。
そこで、出入りのしやすいよう「スロープ」を作って車椅子でも安全に外出できるようにするのがエクステリアのバリアフリー工事の代表的な事例です。
まず、車椅子でも安全に通行できる幅は「1m」を目安に設計するのが普通です。
また縁石(えんせき)や手摺り(てすり)を設置して、車椅子の脱輪を防ぐ事も大切なポイントとなります。
出典:ハピすむ
▲縁石の上に手摺りを付けたスロープの例。雨に濡れても滑りにくい素材を用いることも重要となる。
段差に対してどの位の長さのスロープが必要かを考える時「段差の12倍」の長さのスロープにするのが最適で、この場合の傾斜角度だと電動車椅子でなくても自力でスロープを上がることができます。
出典:サンリブ
▲それぞれ段差50cmの6倍、8倍、12倍のスロープ長さにした時の比較。角度の緩いスロープが望ましいが、一般住宅の敷地面積だと長さに制約がある場合が多い。
このようなスロープが取れない場合に用いられるが、段差解消機(だんさかいしょうき)です。
段差解消機とは、テーブル台が段差に合わせて上下する昇降装置で、車いすに乗った状態で玄関前アプローチや踏み台といった段差を安全に昇り降りできます。
出典:大邦機電有限会社
▲屋外に設置が可能なため、住宅だけで無くさまざまな施設にも導入されている。
段差解消機が設置できない大きな段差や階段がある場合には、階段昇降機(かいだんしょうこうき)の設置が必要です。
階段昇降機は階段の端に取り付けたガードレールの上を椅子に座った状態で昇降ができて、安全性を保ちながらスムーズに階段移動することができます。
▲階段昇降機はリモコン操作もできて、介護者による手助けなしで一人で昇降可能。防水性のため、室内はもちろん室外でも広く利用されている。
カーポート
出典:YTK
カーポートは出来る限り玄関までの動線を短くし、自動車のドアが十分に開けられる幅である「3,300mm以上」の空間を設けます。
集合住宅においては、エントランス付近に車がアクセスできるような駐車スペースを確保するのが望ましいです。
インターホン
出典:生活ディクショナリー
インターホンは、床仕上げ面からインターホン本体の中心部分が「1,100mm」程度の高さになるように設置するのが好ましいです。
インテリアコーディネーターテキストなどには「1,250mm」と記載されていることがありますが、これでは車椅子利用者にとっては高すぎます。
出典:IDマネジメント
▲インターホンやスイッチなどは1,100mm、ベッド周辺のスイッチや引張りスイッチは800〜900mm、コンセントは400mm程度の高さが使いやすい高さ。
玄関のバリアフリー計画
出典:ブルースホーム小倉
▲玄関土間と上がり框の高さがフラットになった完全バリアフリー対応住宅が増えている。
アプローチを過ぎて玄関前のポーチまで辿り着くと、一般的にはさらに2カ所の段差が存在します。
その1つ目が、ポーチから玄関土間の間にある「沓摺り(くつずり)」です。
沓摺りとは玄関ドアだけで無く室内ドアの下部にある部材のことで、部屋の気密性・防音性を防いだり、ホコリや水の侵入を防ぐ役割があります。
出典:HOMES
▲室内ドアは木製、玄関ドアには防水性の高いステンレス製の沓摺りが多く、床面から少し出っ張る形にしてドアの戸当たりがついているのが一般的だが、最近ではバリアフリー対応のために沓摺りの段差を小さくしたり、沓摺りを設けないタイプも増えてきた。
2つ目は上がり框(あがりがまち)で、主に玄関の上がり口で靴を置く土間の部分と廊下や玄関ホール等の床との段差部に水平に渡した横木のことです。
出典:SUUMO
▲上がり框は、玄関土間(たたき)と玄関ホールの境目にある部分のことで、「玄関框(げんかんがまち)とも言われる。日本の住宅の場合、段差があるケースが多く、その段差に腰かけて靴を脱ぎ履きしたり、段差により屋外のほこりやゴミが室内に入るのを防ぐ役割がある。
ポーチと沓摺りの段差は「20mm以下」、沓摺りと玄関土間の段差は「5mm以下」、玄関土間と上がり框の段差は「180mm以下」(集合住宅では「110mm以下」)とするのが使いやすい高さです。
出典:老後と住まい
▲玄関の上がり框は、靴を脱ぐ習慣のある日本の家ならではの部分といえる。昔の上がり框の高さは300mm程度あるのが一般的で、ご近所さんが気軽に腰かけて会話を楽しむ場としても使われていた。
また、玄関土間と上がり框の段差が180mmを超える場合は、奥行きが300mm以上ある「式台(しきだい)」を設置すると上がり易くなります。
出典:木の店さんもく
▲上がり框の手前に取り付けられた式台。式台や上り框の端部は、段差があることがはっきりと認識できる材質や色を用いると踏み間違いを防ぐことができる。
玄関の壁に手摺りを設置する場合は、玄関土間から手摺りの下端までが750〜800mm程度の高さになるように設置するのが理想的な高さです。
出典:ナカ工業
▲玄関土間から手摺りの下端までの高さは、インテリアコーディーネーターテキストによっては700〜900mmと記載されているものがありますが、900では座って靴を履いた際につかまりづらいため、一般的には750〜800mmが適当な高さとされています。
また、玄関扉は「親子扉(おやことびら)」にすると車椅子が通り易いのでオススメです。
親扉の有効幅員寸法は「800mm以上」になるように設置しましょう。
出典:寺田工務店
▲正面から見て大きな方の扉が「親扉」、小さい方の扉は「子扉(ことびら)」と呼ばれる。
階段のバリアフリー計画
階段のバリアフリー計画でもインテリアコーディネーターとして提案できる部分は多くあります。
まず、真っ直ぐな直線階段はなるべく避けて、出来る限り踊り場付き折れ階段とすると、万が一転倒した際に大きな怪我を避けることができます。
出典:株式会社イエモン
▲踊り場は高齢者だけでなく小さな子供の居る家庭でも、安全のために検討したい。
階段の勾配は、蹴上げ(けあげ:R)と踏面(ふみづら:T)の関係が
550mm ≦ 2R + T ≦ 650mm
となるのが望ましいとされています。(※下図参照)
例えば、蹴上げが230mm、踏面が150mmだった場合、
「550mm ≦ 460mm + 150mm(=610mm) ≦ 650mm」という式が成り立つ為、とりあえず階段として登れる勾配であるといえます。
しかし、この寸法を以下の断面図で見るととっても急勾配で登りにくい階段に見えますね。
この寸法は建築基準法上の最低限度の寸法ですので、実際にはもっと緩やかな勾配の階段としたほうがよいでしょう。
出典:Ameba
▲左側の階段の勾配は建築基準法の最低限度の寸法。踏面と蹴上げの寸法を変えると勾配が緩く上りやすい階段となるが、階段の面積を多く取ることになるので、その分ほかの部屋の面積が狭くなる。
また「蹴込み(けこみ)」と呼ばれる段鼻(だんばな)から蹴込板までの奥行きは、「30mm以下(推奨は20mm以下)」とすることが望ましく、この寸法が大き過ぎると段鼻に足が引っかかって転倒する恐れがあります。
出典:Reco
近年では、踏板に「浮遊感」を与えるために蹴込板の無い階段が増えていますが、隙間に足を入れてしまう可能性があるので、バリアフリー の観点からは蹴込板がある方が安全であると言えます。
出典:ホープス
▲蹴込み板の無い階段。段板は壁内部に仕込まれた鉄骨によって支えられている。
踏板は滑りにくい素材にすることが重要です。
ざらざらとした粗面とするか、溝を彫り込む、もしくはノンスリップを取り付けます。
このノンスリップとはバリアフリー未対応の住宅では見られませんが、踏板を滑りにくくするという点では非常に有効で多くの施設で導入されています。
出典:川口技研
▲ノンスリップの色が段板と異なることにより、踏み間違いを防ぐことができる。
階段の手摺りについては勾配がきつくなる場合には出来る限り両側に手摺りを設けて、片側のみに取り付ける場合は降りる際の利き手側に設置しましょう。
出典:KAITOH
▲設計上難しい場合もあるが出来れば両側、片側の場合は降りる際の利き手側に手摺りを取り付ける。
階段の照明は、足元が暗くならないよう足元照明(足元灯)を用意するのが理想です。
足元照明は壁面に照明を設置する場合や、段鼻の下に埋め込む場合がありますが、どちらにしても足元が影にならないように注意する必要があります。
出典:Yahoo
ナンタルカのまとめ
■エクステリアのバリアフリー計画
アプローチには出入りのしやすいよう(①)を作って車椅子でも安全に外出できるようにするのがエクステリアのバリアフリー工事の代表的な事例で、その勾配は段差の(②)倍にするのが最適である。(①)が取れない場合は(③)を、階段などの段差が大きい場合は(④)の設置を検討する。
■玄関のバリアフリー計画
ポーチと沓摺りの段差は(①)mm以下、沓摺りと玄関土間の段差は(②)mm以下、玄関土間と上がり框の段差は(③)mm以下(集合住宅では(④)以下」)とするのが使いやすい高さである。玄関土間と上がり框の段差が(③)mmを超える場合は(⑤)の使用を検討するのが良い。
■階段のバリアフリー計画
真っ直ぐな直線階段はなるべく避けて出来る限り(①)とすると、万が一転倒した際に大きな怪我を避けることができる。また(②)は「(③)mm以下(推奨は(④)mm以下)」とすることが望ましく、この寸法が大き過ぎると(⑤)に足が引っかかって転倒する恐れがある。
お疲れ様でした。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
わからないことや分かりにくい箇所があれば、ぜひお問い合わせよりご連絡ください。
次回もお楽しみに!
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