どうも、しけたむです!
この記事では
- 「生地の加工ってどういう種類があるの?」
- 「聴き慣れないカタカナ多すぎ。写真で確認しながら覚えたい。」
とお悩みの皆様に向けて、
カーテン生地のいろいろな加工の種類について画像で解説します。
実用性を高める加工
樹脂加工
樹脂加工(じゅしかこう)とは、合成樹脂を生地に付着させることでしわや縮みを防止して、生地に硬さ、張り、コシ、厚みなどを与えて強化する加工です。
1920年代にイギリスで開発された加工方法で、日本では1950年代になって使われるようになりました。
使用する合成樹脂の種類によってさまざまな効果を付加することができ、衣類などに用いる際は樹脂加工によって防水機能を付与されることが多いです。
防汚加工
防汚加工(ぼうおかこう)とは、生地に汚れを付きにくくしたり汚れを落としやすくする加工のことです。
防汚加工には汚れを付きにくくする「SG(Soil Guard:ソイルガード)加工」、汚れを落としやすくする「SR(Soil Release:ソイルリリース)加工」、汚れを目立たなくする「SH(Soil Hide:ソイルハイド)加工」などがあります。
SG(ソイルガード)加工
出典:Resta
ソイルガード加工は、フッ素樹脂を生地の表面にコーティングすることで薄い皮膜を作り、生地表面の凹凸を無くしてツルツルとさせることで汚れを付きにくくする加工です。
SR(ソイルリリース)加工
出典:Resta
ソイルリリース加工は、機能性ポリマー樹脂を生地の繊維にコーティングすることにより親水性を高めて、繊維の隙間に水を入り込みやすくして汚れを洗い流しやすくする加工です。
消臭加工
出典:PRTIMES
消臭加工とは、光触媒(ひかりしょくばい)や酸化触媒を繊維に付与することにより、さまざまな生活臭を水や炭酸ガスなどの無害物質に分解する加工です。
暮らしの中で発生する四大生活悪臭と言われる「アンモニア(屎尿のにおい)」、「トリメチルアミン(腐敗した魚のにおい)」、「硫化水素(腐敗した卵のにおい)」、「メチルメルカプタン(腐敗した玉ねぎのにおい)」やシックハウス症候群の原因であるホルムアルデヒドにも効果があると言われています。
出典:有限会社南戸商事
サンフォライズ加工
サンフォライズ加工とは、洗濯しても生地が縮みにくくする加工のことで、単純に「防縮(ぼうしゅく)加工」とも呼ばれます。
生地に使われている繊維素材によって防縮加工のやり方は変わり、綿などの織物の場合は適度な水分を与えることによって強制的に収縮させます。
薬品などを使用しないので、最も安全性の高い防縮方法といえます。
ウールなどの毛製品の場合は、スケール(キューティクルと呼ばれるうろこ状の表皮)が互いに絡み合って縮むので、塩素を使ってスケールを除去したり、樹脂加工でスケールの凹凸を覆ったりすることで、防縮加工を施します。
ポリエステルなどの合成繊維の場合は、熱処理をすることでその寸法が安定するようになります。
家庭で洗濯しても縦方向、横方向ともに縮みにくくなるのがサンフォライズ加工のメリットです。
ラミネート加工
ラミネート加工とは、生地の裏側にウレタン、塩ビなどのフィルムを接着加工し、遮光性を高めた加工です。
いわゆる「遮光カーテン」と呼ばれるものは、このラミネート加工によるものが主流で、生地の裏側に接着するフィルムの厚みによって遮光性の等級が変わります。
出典:JUST CURTAIN
▲一般社団法人日本インテリア協会(NIF)の基準では、遮光率が99.4%以上の生地を遮光カーテンと呼び、遮光1級が最も遮光性能が高い。生地の裏側に貼るフィルムが厚いと遮光等級が高くなる。
コーティング加工
コーティング加工とは、カーテンの裏地にアルミやアクリル樹脂などの各種合成樹脂塗料などを塗る加工のことで、遮光性、防水性、遮音性、強度を高める効果があります。
コーティング加工の最大のメリットは遮光性能が高いことで、カーテンの裏地にアクリル樹脂などを3層ほど重ねることで、遮光率ほぼ100%(遮光1級相当)にすることが可能です。
またアルミや樹脂で生地の繊維が隙間なく埋められていることで遮音性能が高く、特に高音の音域の軽減に優れていると言われています。
シルケット加工(マーセライズ加工)
出典:BISHU
シルケット加工とは、綿を苛性(かせい)ソーダという溶液に浸し、絹(シルク)のような美しい光沢や風合いを持たせた加工のことです。
「マーセライズ加工」とも呼ばれ、強度、寸法安定性、吸湿性、染色性などを高めるという特徴があります。
カーテンは生地の面積が大きいので高価な本物の絹を使用するとかなりの高額になってしまいますが、シルケット加工を用いることで安価な綿でも高級感のある雰囲気を出すことができます。
ただしデメリットとして、一時的にしか効果がなかったり、生地の耐久性が落ちることなどが挙げられます。
風合いや意匠性を高める加工
チンツ加工
チンツ加工とは、生地を高熱をかけたローラーの間に通して、熱と圧力で布生地を潰して光沢を出す加工のことです。
「チンツ」とはもともとインドで織られた光沢のある木綿のことで、このチンツのような光沢を出す加工方法のことをチンツ加工と呼ばれるようになりました。
エンボス加工
出典:Amazon
エンボス加工とは、凸凹の模様を彫った押し型の専用ローラーを使って、高温で生地に圧力をかけながら浮き出し(エンボス)模様をつける加工です。
ローラーの押し型で押された箇所は凹み、押し型で押されていない箇所は浮き上がったような仕上がりになります。
熱可塑性(加熱すると変形し、冷却すると再び固まる性質)のあるナイロン、ポリエステルなどの合成繊維はそのままで加工がしやすいですが、綿・コットン、レーヨンなど熱可塑性のない天然繊維を加工する場合は、先に繊維に樹脂を塗布してから、樹脂の熱可塑性を利用してエンボス加工を施します。
モアレ加工
出典:TERI×TERI
モアレ加工とはエンボス加工の1種で、強い圧力をかけたローラーの間に生地を通して、木目や波形の模様を付ける加工のことです。
ローラーで強くプレスされた凹部分には光沢ができ、凸部分との光沢差により生地の模様が引き立てられ、上品でラグジュアリーな雰囲気を演出することができます。
リップル加工
リップル加工とは、綿や麻、レーヨンなどの繊維に苛性(かせい)ソーダを部分的に浸し、化学反応により布地を収縮させて生地の表面に凸凹やシボ(シワ模様のこと)をつける加工です。
リップルとは「さざ波・波紋」を意味するもので、収縮させた生地のシワや凸凹がまるでさざ波のように見えることから名付けられました。
自然なシワを作り出すことでカーテン生地の表情を変えられるほか、暗い場所で特に上からの照明(ダウンライトなど)に照らされると陰影(影のこと)が生まれ、普通のカーテンとは異なる雰囲気を醸し出せます。
プリーツ加工
出典:La redoute
プリーツ加工とは、生地にプリーツ(折り目、ひだ)をつける加工です。
ポリエステルなどの合成繊維は熱可塑性(熱すると変形し、冷却すると固まる性質)を利用することで、綿・絹・麻やウールなどの天然繊維は樹脂を塗布して熱を加えることでプリーツをつけることができます。
プリーツ加工を用いることで、均等な間隔で美しいプリーツカーテンを演出することができます。
オパール加工
オパール加工とは、特定の繊維を溶かす薬品を生地に織り込み、その部分を溶かして薄くしてレース状の透かし模様を作る加工のことです。
2種類以上の繊維を使っている生地に対して有効で、薬品で繊維を溶かすことで他の繊維が残るため透かし模様が出来上がります。
また溶かす薬品の中に染料を入れることも可能で、透かし模様を作るのと同時に染色もできます。
キルティング加工
出典:楽天
キルティング加工とは、2枚の生地を重ね合わせて、間に中わたや芯を入れてから縫い合わせる加工です。
中のわたが移動しないよう、基本的に糸をクロスさせるようにして縫い合わせることが多いです。
ファッションとして人気の高いキルティングですが、カーテンに使用しても夏は遮熱、冬は保温効果という機能性で快適に過ごすことができます。
フロック(フロッキー)加工
出典:Yahooショッピング
フロック(フロッキー)加工とは、フロックと呼ばれる0.1mm〜数mmのごく短い短繊維を生地の表面に付着、固定させる加工です。
生地にあらかじめ接着剤を塗布した後、静電気を帯電させてフロックを植えつけてゆくのですが、この静電気によりフロックは垂直に立たせた状態で接着させることが可能になります。
フロック(フロッキー)加工を施すと、ベルベットやスエードのようなふさふさした見た目と手触りになることが魅力です。
また生地全体ではなく、部分的に植毛をして柄を作ることも可能で、ベルベットでは表現が難しかった複雑な柄や立体感のある柄を表現することもフロック(フロッキー)加工により可能になりました。
ワッシャー加工
出典:ROCONDO
ワッシャー加工とは、生地に洗濯後のような自然なしわを付ける加工のことで、しわのできにくい綿やレーヨンにも、麻のようなしわを表現することが可能です。
ワッシャー加工の工程は、まず「Washer」と呼ばれる工業染色用洗浄機に生地を入れ、回転させながらもみ洗いを行います。
染色、すすぎ洗い後にしわを取らずにそのままデザインとして残せばワッシャー加工の完成です。
お疲れ様でした。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
わからないことや分かりにくい箇所があれば、ぜひお問い合わせよりご連絡ください。
次回もお楽しみに!
▼次回新章、インテリアアートはこちらから!▼