どうも、しけたむです!
この記事では
- 「インテリアアートってどういうもの?」
- 「洋画と日本画の種類や特徴について知りたい。」
とお悩みの皆様に向けて、
インテリアアートや、洋画と日本画の種類や特徴について画像で解説します。
インテリアアートとは?
インテリアアートという言葉は、インテリアに興味がある方は誰でも聞いたことがあるのではないでしょうか。
広辞苑によるとインテリアは「(内部の意)室内装飾。室内調度品」と記され、アートは「①ア 芸術。美術。イ 技術。 ②アート紙の略」と記されています。
つまりインテリアアートとは室内を装飾するために飾られるアート作品のことになります。
ちなみにアート作品には芸術性や美術的な価値などが必ずしもある訳ではありません。
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インテリアアートという言葉は1980年代以降、アメリカで活躍する日本人現代アーティストのヒロ・ヤマガタや、ハワイの海中風景やイルカなどの海洋生物を主要なモチーフに描いた「マリンアート」が一世を風靡したハワイの画家クリスチャン・ラッセンらの大衆的なアート作品のことを指す言葉として使われ始めました。
出典:好奇心のおもちゃ箱
▲マリンアートと呼ばれる作風で、特にバブル時代の日本で高い評価を得たクリスチャン・ラッセン。
それまでの難解な美術作品とは異なり、彼らの作品は美術に関する特別な知識は必要無く、誰もが直感的に楽しむことができたことから、当時多くの人々に受け入れられました。
また一度にたくさん印刷することができて手軽に入手できる簡便性から、インテリアアートという言葉も一気に広まったのでした。
また、室内を装飾するために用いられるものはインテリアアートだけでは無く、観葉植物やインテリア雑貨など多種多様です。
これらのように生活のために必要では無いですが、個人の嗜好を満たすためにインテリアの装飾やアクセントとして用いられるものはインテリアオーナメントというので覚えておきましょう。
出典:&MALL
▲インテリア小物、グリーンやハロウィン、クリスマスの飾りなど、インテリアの飾りとして用いられるものをインテリアオーナメントという。
洋画(西洋画)とは?
洋画(ようが)とは、日本に古くから伝わる伝統的技法を用いて描かれた日本画に対して、西洋で発達した描画材料・技法によって描かれた絵画全般を指し、西洋画(せいようが)ともいいます。
油彩画(ゆさいが)、水彩画(すいさいが)、フレスコ画、テンペラ画、パステル画、素描(そびょう)などのさまざまな種類がありますが、特に油彩画のことを指して「洋画」と言われることもあります。(すべて後述)
日本での洋画の広まりは、大きく3期に分けられます。
第1期は室町時代後期の1543年、ポルトガル人が薩摩(さつま:現在の鹿児島県)の種子島(たねがしま)に漂着してから、江戸時代中期の1708年頃まで。
この第1期には、おもにキリスト教布教に伴う聖画像類や西洋風俗画類が油彩画などで描かれ、南蛮絵(なんばんえ)、キリシタン絵画と呼ばれました。
これら西洋の影響を受けた美術を総称して南蛮美術(なんばんびじゅつ)といいます。
出典:ぴあ関西版
▲大正時代に福井県の旧家から見つかった『悲しみの聖母像』16世紀末〜17世紀初頭
第2期は、江戸時代の政治家で学者でもある新井白石(あらいはくせき)が『西洋紀聞(せいようきぶん)』という西洋の研究書を著わした1709年から幕末まで。
西洋画の迫真的な写実(しゃじつ:見たままの実物をリアルに写すこと)表現が日本人の関心をひき、西洋や日本の風俗、風景、人物などが油彩画などで描かれました。
この頃の洋画は蘭画(らんが)とも呼ばれます。
出典:UAG美術家研究所
▲18世紀後期、画家であり学者の平賀源内が油彩画で描いた蘭画『西洋婦人像』。蘭画の「蘭」とは、当時日本と貿易していたオランダのこと。
そして第3期は、明治1 (1868) 年以降から現在に至るまでで、近代洋画という場合はこの第3期をさすことが多いです。
洋画(西洋画)の種類
油彩画(ゆさいが)
▲『民衆を導く自由の女神』ウジェーヌ・ドラクロワ 1830年
油彩画(ゆさいが)とは、顔料(がんりょう:着色に用いる粉末で水や油に溶けないものの総称。着色に用いる粉末で水や油に溶けるものは染料(せんりょう)と呼ばれる。)を亜麻仁(あまに)などの植物の種から採取された油で溶いて、その絵具をテレピン油という精油で希釈して描かれた画のことです。
油彩画の顔料は岩石や鉱物などの粉が用いられ、それを溶く油は亜麻仁のほかに、胡桃(クルミ)や芥子(ケシ)なども一般的に用いられます。
どの油も酸化乾燥することで固まり、画板やキャンバスに定着します。
鮮やかな発色はもちろん、細部の表現や、ぬり重ねることで重厚な表現ができるのが油彩画の特徴です。
▲19世紀のフランスの画家ジョルジュ・スーラの油彩画『グランド・ジャット島の日曜日の午後』
油彩画は15世紀以降に普及し、その後西洋絵画の主流となりました。
現在では油の代わりにアクリル樹脂を用いたアクリル絵具も使用されています。
▲20世紀を代表する画家でありポップアーティストのアンディ・ウォーホールの作品は、版画の一種であるシルクスクリーンにアクリル絵の具が用いられている。『キャンベルのスープ缶』(1962年)
水彩画(すいさいが)
▲『クリスマス・イヴ』カール・ラーション 1904年 – 1905年
水彩画(すいさいが)とは、水を溶剤とする水彩絵具で描かれた画のことです。
油彩画と異なり、水彩画は絵具を塗ってゆくというより「色のついた水」を塗ってゆくというイメージで、空気の薄さや透明感、空間、それらを出すのに最適です。
また比較的低価格で購入する事が可能で、幅広い年齢層に親しまれています。
出典:Amazon
▲学校の授業で水彩画を描いた方も多いのではないでしょうか。
水彩画の歴史は非常に古く、旧石器時代のヨーロッパにある洞窟に描かれた絵にまで溯り、古代エジプト、中世ヨーロッパにも描かれていた記録が残ります。
日本へは幕末から明治初期にかけて伝わり、明治30年代後半に大きなブームとなりみづゑ(水絵)と呼ばれていました。
▲15世紀にドイツの画家アルブレヒト・デューラーによって描かれた水彩画『兎』
出典:ARTAGENDA
▲明治期の水彩画家・大下藤次郎の作品『越ヶ谷の春色』(1897年)
水彩絵具の種類は透明と不透明に大別され、透明水彩絵具はウォーターカラー、不透明水彩絵具はガッシュと呼ばれます。
どちらも主原料は顔料と展色材(てんしょくざい:絵具をのばして定着させる材)であるアカシア樹脂(アラビアガム)で、そのほかに保湿剤や防腐剤などが含まれています。
▲19世紀のフランスの画家ウジェーヌ・ガリエン=ラルーのガッシュ『Possibly Porte Saint-Martin』1941年
ウォーターカラーはガッシュと比べてアラビアガムを多めに含み、そのため分散する顔料の隙間から支持体(紙など)の色が透けて見えるので、薄い塗りに適しています。
▲透明水彩は下の色が透けて見えるため、重ね塗りをすることで混色が可能。
フレスコ画
▲ルネサンス期のイタリアで描かれたフレスコ画 ラファエロ・サンティの『アテナイの学堂』(1509−1510)
フレスコとは壁に直接絵を描く技法の1つで、ヨーロッパの教会や宮殿内の装飾としてお馴染みです。
このフレスコで描かれた壁画をフレスコ画と呼び、ルネサンス期のイタリアではラファエロ、ミケランジェロなどの天才的な画家たちが作品を残して最盛期を迎えました。
▲ヴァチカンのシスティーナ礼拝堂に描かれたフレスコ画『アダムの創造』(1508−1512年)は、ミケランジェロの傑作として有名。
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フレスコ画の描き方ですが、まず漆喰(しっくい)を壁に塗ります。
その漆喰がまだ「フレスコ(新鮮)」である状態、つまり生乾きの間に水または石灰水で溶いた顔料で描くと、漆喰が乾いて顔料が漆喰に定着して完成です。
出典:Traditional building
▲漆喰が硬化する過程で生じる消石灰(水酸化カルシウム)の化学変化により、顔料は壁と一体化するため高い耐久性を持つ。
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テンペラ画
出典:Smartravel
▲ルネサンス期のイタリアの画家サンドロ・ボッティチェッリのテンペラ画『ヴィーナスの誕生』(1483年)
テンペラとは、顔料に乳化作用を持つ卵や樹脂などを固着材として混ぜ合わせて利用する西洋の伝統的な絵具のことで、テンペラを用いた絵画をテンペラ画といいます
フレスコ画と同じように経年による劣化や変色が少ないという特徴があり、数百年前に制作された作品が今日でも鮮明な色彩を保っています。
しかしテンペラには、ぼかし技法ができない、絵の具の伸びがなく絵を描く布や紙などを絵の具で覆う力(被覆力)が弱い、厚塗りができないという欠点があったので、15世紀に油彩画が発明されると表舞台から退きました。
出典:Portrait Society of Atlanta
▲こってりとした肉厚な発色をする油彩画と比べてビビットで軽やかな発色をするテンペラ画は、20世紀に再び注目を浴びるようになった。
パステル画
パステルとは乾燥した顔料を粉末にして接着剤で固めた棒状の画材で、パステルを使用した絵画のことをパステル画といいます。
発色が美しく柔らかな風合いが特長で被写体の色彩や形を素早く描き移すのに適していますが、油彩画の絵の具のようにパレットの上で混色することはできません。
出典:Amazon
▲パステルは直接手に持って塗るだけでなく、カッターナイフで削って再び粉末状にしてスポンジで塗ったり、指でこすることでぼやかしたりと様々な塗り方ができる。
素描(そびょう)
▲19世紀のフランス人画家ウジェーヌ・ドラクロワのデッサン(1855年)
素描(そびょう)とは、黒やセピアなどの単色の線で人や物の形を描いた絵のことです。
絵画の練習や下絵として描かれることが多いですが独立した作品としても鑑賞され、フランス語では「デッサン」、英語では「ドローイング」といいます。
コラージュ
出典:Another
▲ドイツの画家クルト・シュヴィッタースのコラージュ作品『無題』(1937−8年)
コラージュとは、新聞の切り抜きなどの印刷物、写真、布や木の枝など様々なものを貼り付けて構成する絵画技法、あるいはこのような技法で制作されたアート作品のことです。
コラージュの始まりは、1912年にスペインの芸術家であるパブロ・ピカソが始めたパピエ・コレが最初の作例であると言われています。
パピエ・コレとは「貼り付けられた紙」という意味で、新聞紙、楽譜、マッチ箱のラベルなど実物の紙類をキャンバスに貼り付ける作品を指しています。
のちに紙以外にも様々な物を貼り付けるコラージュ(フランス語で「糊で貼る」という意味)に発展して、現在に至るというわけです。
出典:Artsdot
▲ピカソの最初のパピエ・コレ(コラージュ)作品。ロープで枠取りした楕円形のキャンバスに籐椅子の印刷物を貼り付け、果物ナイフ、輪切りのレモン、グラス、新聞(ジュルナル)を意味する三文字「JOU」が絵の具で描かれている。『籐椅子のある静物』(1912年)
日本画とは?
▲国宝に指定されている水墨画『天橋立図』(1501−1506) 雪舟
日本画とは、明治時代初期にヨーロッパからもたらされた洋画に対して、それまでの日本にあった伝統的な様式で描かれた画と区別するために使われ始めた言葉です。
この日本画は、墨を使用してぼかしで濃淡や明暗を表す『水墨画(すいぼくが)』と、色味のついた鉱石を砕いて作られる粒子状の絵具である岩絵具(いわえのぐ)や、動植物から抽出した顔料を用いて描かれた『彩色画(さいしきが)』に大きく分けられ、絹や紙に毛筆で描かれます。
▲襖紙に金箔を貼り、その上から岩絵具で彩色している『仙人掌群鶏図障壁画』(1788年)伊藤若冲
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日本画の起源は奈良時代から平安時代にまでさかのぼり、中国や朝鮮半島などから渡来した絵画技法や様式を日本人が真似をして、中国風の風景画や人物画を描くようになり、これを「唐絵(からえ)」と呼びました。
その後、中国風ではなく日本の風景や人物をモチーフとした独自の絵画が描かれはじめ、これらは唐絵に対して「大和絵(やまとえ)」と呼ばれました。
出典:つれづれ美術手帖
▲中国をモチーフにした唐絵(左)と、日本をモチーフとした大和絵(右)
したがって、今日「日本画」とよばれている絵画領域には、これらの唐絵、大和絵をはじめ、水墨画や浮世絵などの風俗画まで、日本で描かれたすべての絵画が含まれます。
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掛軸(かけじく)
出典:しけたむ
鎌倉時代後期、禅宗の影響による水墨画の流行から掛軸(かけじく)が日本で広まり始めました。
掛軸とは書や画の本紙を紙などで表装(ひょうそう:仕立てること)し、掛けられるようにしたもので、床の間などに掛けて鑑賞するため「床掛け(とこがけ)」とも呼ばれます。
室町時代になると、茶の湯の席で座敷の床の間に水墨画の掛軸が多く見られるようになり、千利休(せんのりきゅう)が掛軸の重要性を説くと、茶を愛する人達により掛軸が爆発的に流行するようになりました。
▼千利休はこちらで詳しく紹介しています▼
江戸時代には表具の技術がさらに発展し、複雑な文様の織物が好まれると京都の西陣などの織物が人気を博します。
出典:札所0番
▲西陣織の表装が用いられた掛軸
明治・大正期は日本画の隆盛により掛け軸も大きく飛躍し、昭和に入ると官公庁主催であった総合美術展覧会である「文展(ぶんてん)」(現在の日展(にってん))と、美術家団体「日本美術院」などの台頭により日本画の隆盛期を迎え、現在では日本が誇れる伝統と文化のひとつを掛軸が担っています。
屏風(びょうぶ)
出典:東京都立図書館
▲平安時代の寝殿の奥に置かれている六曲一隻(6枚1セット)の屏風
屏風(びょうぶ)とは部屋の仕切りや装飾、視線を遮る屏障具(へいしょうぐ)として使用される調度品の一種のことで、2〜8枚の偶数で折り合わせた構造になっていて、ぱたぱたと折り畳むことができます。
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屏風は「風を屏(ふせ)ぐ」という言葉のとおり、もともとは風や人目を遮るための調度品ですが、同時に権威ある者の所在を示す象徴でもあり、その表面の多くには美しい日本画が描かれていました。
▲江戸時代の画家・尾形光琳(おがたこうりん)によって屏風に描かれた『紅白梅図屏風(こうはくばいずびょうぶ)』は国宝に指定されている。
屏風の中でポピュラーな形が六曲一双(ろっきょくいっそう)と呼ばれる形で、六曲とは六つ折りであること、一双とは左右で1セットであることを意味します。
出典:滋賀県立近代美術館
▲六曲一双になっている屏風の例。ちなみに屏風本体は1隻(せき)、2隻と数える。
出典:出典精選版 日本国語大辞典精選版
▲こちらは二曲一双で置かれた屏風
お疲れ様でした。
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