どうも、しけたむです!
この記事では
- 「お風呂に入るのが大好きなので、浴室にはお金をかけたいと思っている。」
- 「浴室について、ざっくりでいいからどんな種類があるか知りたい。」
とお悩みの皆様に向けて、
浴室設備の計画について画像で解説します。
浴室の種類と構造
浴室とは?
浴室(よくしつ)とは衛生活動のために使用する部屋で、一般的には浴槽(バスタブ)やシャワーが付いていて、トイレやシンク(洗面台)が同じ室内に含まれることもあります。
歴史的には、古代ローマ時代の公衆浴場(テルマエ)が有名ですが、現存する最古の浴槽は紀元前1,700年にさかのぼり、ギリシャ・クレタ島の『クノッソス宮殿』には、現在の浴室と同じような浴槽があり、水道の配管方法も現代とさほど変わりません。
出典:Period Paper
▲『クノッサス宮殿』の浴室に現存する浴槽(右)と、当時の浴室の想像図(左)
▼古代ローマの様式はこちらでご紹介▼
現在のような、大量生産が可能で工場で予め製作して現場で組み立てる浴室「システムバス(ユニットバス、浴室ユニット)(※)」ができたのは、20世紀に入ってからのことでした。
このような、予めすべての部材を工場で製作し、現場に届けてから組み立てることを「プレハブ」といい、浴室の場合「プレハブ浴室」などと言われます。
※システムバスとユニットバスの違いとは?
「システムバス」と「ユニットバス」という言葉には、明確な違いはありません。
ひと昔前にはお風呂とトイレが一体となった浴室を「ユニットバス」と呼んでいました。
しかし最近では、追い炊き機能やミストサウナなど、機能性の高いユニットバスが普及したことから、ユニットバスと差別化するために「システムバス」という言葉が使われるようになったのです。
システムバスの種類と構造
システムバスは一般的に「浴槽」と「洗い場」で構成されていて、いくつかの種類があります。
フルユニット(オールユニット)
出典:BXゆとりホーム
▲全ての部材をばらばらに製作して現場で組み立てるフルユニットはオーダーメイド(受注生産品)に比べて価格を抑えることができる。カラーバリエーションは数色から選択できるのが一般的。
フルユニット(オールユニット)は「洗い場 + 浴槽 + 壁 + 天井 + 浴室ドア」がセットされたシステムバスです。
浴室内のパーツが一体化されるフルユニットのメリットは、つなぎ目が少ないため汚れが溜まりにくく、洗い場には勾配が付けられている為、水はけも良く掃除が簡単なことです。
システムバスを構造により分類すると「フルパネル型(防水パン型)」と「ハーフパネル型」に分けられます。
「フルパネル型(防水パン型)」は、床パン(防水パン)の上に据置き浴槽を設置するものです。
出典:BAINCOUTURE
▲パンは「水受け」を意味し、防水パンは浴室内の水が外に漏れないように作られた樹脂製のパンのこと。建物からは独立して防水性能を担保することができるので、経年劣化などにより防水層に亀裂が生じても交換することが出来るので復旧も容易である。
「ハーフパネル型」は、洗い場と浴槽が一体成形されているものです。
出典:astamuse
▲浴槽と洗い場が一体となっているハーフパネル型。フルパネル型と比べると廉価であるが、破損した場合に部分的な交換などはできない。
システムバスの浴槽は、気密性に優れている上に断熱材によって熱を逃がしにくくなっていて、冬場でもお湯が冷めにくく暖かい空間を維持することができるものが一般的となっています。
出典:TOTO『魔法びん浴槽』
▲一般的なフルパネル型(防水パン型)の浴槽の構造図。断熱材によって熱を逃がしにくくしている。
システムバスは脱衣室と洗い場の間に段差がほとんど無いことや、またぎやすい高さの浴槽、滑りにくい洗い場など、転倒防止のためのバリアフリーデザインが標準仕様となっています。
また、パーツを組み立てるだけのフルユニットは、オーダーメイド(受注生産品)に比べて工期が短く済み、予算も安く抑えられるのも大きなメリットのひとつです。
デメリットは、工場での大量生産品であるため規格寸法が決まっていて、浴室サイズの種類が限られることで、システムバスのサイズに合わせて浴室や住宅の設計を進める必要があります。
出典:セリタホームズ株式会社
▲一般的なシステムバスの規格サイズ。「内寸(うちすん)」とは「内法(うちのり)寸法」のことで、実際に目に見える室内側の寸法のこと。浴室メーカーによって用意されている規格サイズのバリエーションは異なるが、1坪サイズの「1616(いちろくいちろく)サイズ」が最も多く用いられる。
フルユニットのシステムバスは規格品のため、シャワーヘッドや浴室乾燥機など選択できる設備も限定されるので、規格外の設備には対応していません。
ハーフユニット
出典:カイケンコーポレーション
ハーフユニットは「洗い場 + バスタブ + 壁(下半分)」のみがセットされたシステムバスで、天井と壁の上半分が無いシステムバスです。
浴槽や洗い場はシステムバスの特徴を持ちながら、フルユニットなどと比べると壁の上部や天井、水栓金具などデザインやプランのバリエーションの幅が広いのが特徴です。
壁や天井に木やタイルを貼ったり、勾配天井にしたり、規格外のシャワー水栓や照明、浴室乾燥機などを自由に選ぶことができます。
▲上半分にタイルを貼ったハーフユニットの浴室施工例。開放感のある大きな浴室はフルユニットでは実現できない。
複合サニタリーユニット(スリー・イン・ワン)
出典:リフォームPRO
「サニタリー」とは、浴室、トイレ、洗面室など、衛生のための水まわり設備をもつ空間を総称する用語で、場合によってキッチンも含まれることがあります。
サニタリーユニットとはその名の通り、浴室、トイレ、洗面室をユニット化したもので、それぞれ単独のものもありますが、複合サニタリーユニットとはホテルの個室のように3つの機能を1つの空間に収めたユニットのことです。
もともと複合サニタリーユニットは、大量に同じものが必要なホテルなどの宿泊施設用として開発されましたが、その後、集合住宅用として普及し、戸建て用へと広がりました。
システムバス以外の浴室
在来浴室
出典:株式会社小笠原
▲在来浴室は完全オーダーメイド。浴槽は檜、洗い場は天然石、壁はタイルを使用している。
在来(ざいらい)浴室とは、在来工法によって作られた浴室です。
「在来」とは「在り来たり(ありきたり)」という言葉が残っているように、「今までふつうにあったこと。これまでどおり。」という意味で、「在来工法」とはプレハブが無かった時代から行っていた伝統的な手作業による工法のことです。
出典:千葉房総の一人暮らし
▲置き型のバスタブは在来浴室でないと実現できない。タイルの柄が素敵なアクセントになっている。
在来浴室は、システムバスの規格サイズには無い広めのバスルームや、天然石やタイルなど自由な素材を仕上材に選ぶことができますが、防水性はシステムバスに劣るので、水漏れなどの心配から2階以上のバスルームには不向きと言われることがあります。
また、システムバスと比べるとコストが高めで工期も長くかかるのがデメリットです。
浴槽の設置方法とサイズ
浴槽の設置方法の種類には「据え置き型」、「埋め込み型」、「半埋め込み型」があります。
浴槽の設置方法
据え置き型
据え置き型はその名の通り、洗い場の上に浴槽が据え置かれているもので、デザイン性が高く、インテリアコーディネートの主役となれる存在感があります。
最大のメリットは、まるでリゾートホテルのように開放的な雰囲気を楽しめることで、バスタブを壁から少し離して設置すれば、浴室のスペースに余裕があるように見せることも出来ます。
▲自宅にいながら優雅なバスタイムを味わえる据え置き型。バスタブの中で本を読んだり映画を見たり、ライフスタイルに合わせておしゃれなバス空間を演出することができる。
据え置き型のデメリットは、床面からバスタブまでの高さがあるので、入浴する際に浴槽を大きくまたぐようにして出入りしなければなりません。
バリアフリーでは無いので、高齢者が使用する家庭などには不向きです。
また、浴槽の周囲に隙間が出来て汚れが溜まりやすくなるので、定期的なメンテナンスが必要になります。
埋め込み型
据え置き型とは対照的な埋め込み型は、浴室の床面と浴槽の縁が同じ高さになるように、埋め込んで設置する方法です。
浴槽が床の下にすべて隠れるような形になるため、浴室の空間に広がりをもたせて視界をすっきりさせられるというメリットがあります。
出典:artis
▲埋め込み型の浴槽は、非日常感とラグジュアリーな印象を与えてくれる。床下に浴槽を埋め込ませるスペースを確保する必要があるので、設計上考慮する部分が多い。
一方で、汚れた湯水や泡が浴槽に入りやすく、ためたお湯が汚れやすいことがデメリットとして挙げられます。
また、高齢者が入浴するときは立ち上がる際につかまる手すりが必要になるでしょう。
半埋め込み型
出典:Freebath
据え置き型と埋め込み型のそれぞれの特徴を兼ね備えた設置方法が半埋め込み型です。
半埋め込み型は、浴槽全体の深さの約3分の1程度までを床面よりも下に埋まるように浴槽を設置することにより、据え置き型に比べると浴槽の立ち上がりが低いために出入りがしやすくなっているのが特徴です。
出典:特選街Web
▲浴槽の深さの3分の1を埋め込んだ図。中途半端な高さに埋め込むと使い辛いことがあるので、適切なバランスを考慮する必要がある。
据え置き型ほど段差も大きくないので、足を滑らせてケガをするリスクも低い設置方法だと言えるでしょう。
浴槽のサイズ
出典:全国安心工務店ネット
浴槽のサイズは「和風(和式)」、「和洋折衷(わようせっちゅう)」、「洋風(洋式)」の3つに大別できます。
和風(和式)
出典:楽天市場
▲最もポピュラーな和風タイプの据え置き型浴槽
和風の浴槽はサイズがコンパクトでたっぷりとした深さがあるのが特徴です。
外法(そとのり)寸法は800〜1,200mm、内法(うちのり)深さは550〜620mmが一般的です。
肩までしっかりつかることができますが、足を伸ばすことが出来ないのでリラックス感は比較的低めです。
コンパクトサイズですので、スペースに限りのある狭い浴室でも設置することができます。
出典:HINOKISOKEN
▲ミラノの集合住宅で改装されたバスルーム。青森のひば材を使用して作られたというこんな浴槽を使えば、和風サイズでも癒しとリラックス感を味わえそう。
和洋折衷(わようせっちゅう)
出典:楽天市場
▲和洋折衷タイプの浴槽はシステムバスで最も採用されている。
和洋折衷(わようせっちゅう)の浴槽は、和風と洋風の特徴を兼ね揃えたタイプです。
外法(そとのり)寸法は1,000〜1,400mm、内法(うちのり)深さは500〜580mmが一般的です。
和風の浴槽は肩までしっかり浸かることができる代わりに、膝を曲げなければ浴槽に入ることができませんでしたが、和洋折衷の浴槽であれば、肩までしっかり浸かることができるうえに、ある程度足を伸ばしてゆったりと入浴できます。
また、半身浴用のステップ付きのものや、子供と向かい合ってお風呂に入れるよう設計された浴槽などもあります。
出典:長濱工舎
▲浴槽内のステップは、お湯の量を変えずに半身浴・全身浴の両方を楽しめることや、節水効果、浴槽内への滑り込み事故の防止、高齢者や子供が出入りしやすいなどのメリットがある。
洋風(洋式)
出典:ハピすむ
洋風(洋式)の浴槽は、ある程度足を伸ばして入浴できる広さのあるタイプです。
外法(そとのり)寸法は1,400〜1,800mm、内法(うちのり)深さは400〜450mmが一般的です。
外法寸法が大きいので、ある程度浴室のスペースを広く取る必要があります。
洋風(洋式)の浴槽は入浴時に身体に無理な圧迫がなく、介護が必要な場合でも高さが低いので入浴させやすいというメリットがあります。
しかし、立ち上がりにくく滑りやすいので、滑り止めや手すりなどを検討する必要があるでしょう。
洗面化粧台の寸法
出典:リフォーム・カインズ
洗面化粧台の間口は、JIS(※)で500mm、600mm、750mm、800mm、1,000mm、1,200mmと規格があり、最も出荷量が多いのが750mmタイプです。
※JIS(日本産業規格)とは
「JIS(ジス)」という通称で有名な、日本の工業製品に関する規格や測定法などが定められた日本の国家規格のこと。
規格を標準化して品質の改善を図るために昭和24年(1949年)に「日本工業規格」が制定され、2019年に「日本産業規格」に改称された。
簡単に言えば、「日本の製品でいろいろな長さや大きさの規格があるとごちゃごちゃして使いにくい!」という意見を受けて、「なら規格を国で統一しようぜ!」という考え方として生まれたもの。
ちなみに JIS は「Japanese Industrial Standards」の略。
床面から洗面器上端までの高さについても、JISで680mm、720mmと規格があるのですが、この寸法では洗顔などを行う際にかなり低く感じられます。
そのため、実際の製品では750〜800mm程度のものが比較的多く生産されています。
出典:ライフアドバンスジャパン
▲洗面化粧台ユニットは全て規格寸法となっている
ナンタルカのまとめ
■浴室の種類と構造
(1)「プレハブ浴室」である(①)は、浴槽と洗い場で構成されたものが多い。種類としては「洗い場+天井+壁+浴槽」がセットされた(②)、「洗い場+浴槽」がセットされた(③)、「浴槽+洗面器+便器」がセットされた(④)などがある。
(2)浴室ユニットを構造により分類すると、床パン(防水パン)の上に据え置き型の浴槽を設置する(①)、洗い場と浴槽が一体成形されている(②)に分けられる。
■浴槽の設置方法とサイズ
浴槽は深さや長さの寸法により3種類に分類され、最も深さのある(①)、最も多く生産されている(②)、そして最も深さの浅い(③)がある。
■洗面化粧台の寸法
洗面化粧台の幅寸法は(①)により、500〜1,200mmと規格があり、最も多く出荷されているのは(②)mmタイプである。床面から洗面器上端までの高さについても、JISによる規格があるが、実際の製品では(③)程度のものが比較的多く生産されている。
お疲れ様でした。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
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次回もお楽しみに!
▼次回、インテリア計画の基礎はこちらから▼