こんにちは、しけたむです!
この記事では
- 「暖色と寒色、あと中性色ってなんですか?」
- 「色が人に与える影響について知りたい。」
という皆様に向けて、色の心理効果について画像で解説します。
色の対比とは
インテリア計画を行う時は、色を単色で考えることよりも「他の色との関係」を考えながら進めていくのが一般的です。
例えばリビングルームであれば、床・壁・天井の色や建具や窓サッシの色、ソファやコーヒーテーブル、ラグ、カーテン、クッション、インテリアグリーンの色など、さまざまな要素のカラーリングを同時に検討する必要があります。
色相・明度・彩度といったそれぞれの尺度において異なる2色を隣り合わせに配置した場合、その相違が強調されて単独で見た場合と異なった色の見え方をする場合があります。
このような、隣り合う色が互いに影響して生じる現象を同時対比(どうじたいひ)といい、主な対比に色相対比(しきそうたいひ)、明度対比(めいどたいひ)、彩度対比(さいどたいひ)、補色対比(ほしょくたいひ)があります。
同時対比
色相対比
▲中央の色はどちらも同じだが、背景の色相の影響で左は黄色っぽく、右は赤っぽく見える。
色相対比(しきそうたいひ)とは、隣接した色の影響を受けた色相が「背景の色相の補色」方向に近寄って(ずれて)見える現象のことです。
下図の紫色はすべて全く同じ色相ですが、左は背景の青色の補色である「赤」方向へ、右は背景の赤紫の補色である「青」方向へ紫の色相が近寄って(ずれて)、ちょっとだけ違う色相に見えるのです。
出典:UX TIMES
▲中央の紫は、それぞれ背景の色相の補色方向に近寄って(ずれて)見える。
これは色相環を見ながらじゃないと意味不明だと思いますので、以下をご覧ください。
まずは背景が「青」の場合は、補色が「黄」になるので、青に隣接した「紫」は補色である「黄」の方向に色相が近寄って(ずれて)見えてしまい、ちょっぴり「赤」っぽく見えます。
次は背景が「赤紫」の場合は、補色が「黄緑」になるので、隣接する「紫」は補色である「黄緑」の方向に色相が近寄って(ずれて)見えてしまい、ちょっぴり「青」っぽく見えてしまう、ということなんですね。
明度対比
▲中央の灰色はどちらも同じだが、背景の明度の違いで左は明るく、右は暗く見える。
明度対比(めいどたいひ)とは、隣接した色の明度が影響して本来の明度が変わって見える現象のことで、暗い色に隣接している場合は本来の色よりも明るく見え、明るい色に隣接している場合は本来の色よりも暗く見えます。
インテリア空間においても、同じ挿し色のインテリアアイテムを置く場合、室内がブラック系かホワイト系かによっても見える印象が変わることを覚えておきましょう。
▲黒いインテリアでまとめた室内に置かれる赤いクッションは明るく見え、白いインテリアでまとめた室内に置かれたクッションは暗く見える。
彩度対比
▲中央の色はどちらも同じだが、背景の彩度の影響で左は彩度が低く、右は彩度が高く見える。
彩度対比(さいどたいひ)とは、隣接した色の彩度が影響して本来の彩度が変わって見える現象のことで、鮮やかな色に隣接している場合は本来の色よりも彩度が低く見え、彩度が低い色に隣接している場合は本来の色よりも鮮やかに見えます。
補色対比
▲同じ黄色だが、色相環で近くの色相である緑だと黄色はぼやけ、補色の青だと鮮やかに見える。
補色対比(ほしょくたいひ)とは、補色関係にある色が隣接した場合にお互いの色の彩度が強くなり、より鮮やかに見える現象のことです。
補色とは色相環で表した時に反対に位置する色のことですが、ここでもう1度確認しておきましょう。
▲色相環の反対側にある色相同士が補色。赤と緑、青と黄が補色だと覚えておけば頭の中だけでも補色をイメージしやすい。
補色対比では彩度の高い純色など補色を組み合わせた場合、色と色の境界がチラついて見える「ハレーション」が起きやすいので、その場合は彩度を下げて調整する必要があります。
▲補色の赤と緑の純色の組み合わせはハレーションを起こして境界がぼやけるが、彩度を下げることにより解消し、目にも優しい色味となる。
経時対比
経時対比(けいじたいひ)とは、有彩色を一定時間見つめ続けた後に有彩色の補色の残像が見える現象により、本来の色とは別の色に感じられる現象のことです。
例えば「赤」をじっと見続けた後に視線を他へ移すした場合、補色である「青緑」が残像として浮かび上がって見えます。
▲見つめた有彩色の補色がチカチカと浮かび上がり、しばらくするとまた消える。
この有彩色をじっと見つめた時に見える補色残像の色を「心理補色(しんりほしょく)」といいます。
ある色を一定時間見つめた後に、白い部分ではなく別の色を見た場合、心理補色の影響で本来の色とは別の色に感じられます。(別の色と心理補色が重なって見える。)
▲緑の部分と経時補色が重なって見える。
同化現象
出典:サイト職人CMS
▲線が太いと「同時対比」が生じるが、線が細いと色味が隣の色に溶け込んで見えるため「同化」と呼ばれる。右の図を少し離れて見ると、白側はライトグレーに、黒側はダークグレーに見える。
同化現象(どうかげんしょう)とは、色の面積が小さく細かい線状となるときに隣接する色が近づいて見える現象のことで、「色の同化」とも呼ばれます。
言い換えれば、囲まれた色同士が影響を与え合うことで、あたかも色味が近づいているように見える目の錯覚のことです。
色味が異なるように(離れているように)見える「同時対比」とは真逆の現象で、配色される明度や色相が近ければ近いほど、同化現象の効果はより一層大きいものとなります。
色相の同化
色相の同化とは、地の色が組み合わせた色の色相に近づいて見える現象のことです。
下図の例を見ると、地の色である「黄」の左半分に「赤」の線を入れると、元の黄は全体的に「赤みを帯びた山吹色」に見えます。
また、右半分に「緑」の線を入れると、元の黄は全体的に「緑みを帯びたレモンイエロー」に見えます。
出典:NOIE
明度の同化
明度の同化とは、地の色が組み合わせた色の明度に近づいて見える現象のことです。
地の色である「灰色」の左と右に、それぞれ「黒」と「白」の細い線を入れます。
すると、黒い線が入った左は明度が下がって暗く見え、白い線が入った右は白味を帯びて明度が上がって明るく見えます。
出典:NOIE
色彩の同化
色彩の同化とは、地の色が組み合わせた色の色彩に近づいて見える現象のことです。
地の色である「ピンク」の左半分に「彩度の高い赤い線」を、右半分には「彩度の低い灰色」の線を入れます。
すると、左半分のピンクは元の色より鮮やかさが増して見え、右半分のピンクはくすんで見えます。
出典:NOIE
その他の色による心理効果
リープマン効果(可読性・明視性)
出典:色彩101
リープマン効果とは、色同士の境界線がチカチカとハレーションを起こして図や文字が読みにくくなったり、縞模様などで2つの色の輪郭があいまいになったりする現象のことです。
リープマン効果は明度が近い色同士で起き、下図の緑と赤は同程度の明度になっているため、チカチカとしたハレーションが生じています。
▲左は明度の近い赤と緑の組み合わせのため、ハレーションが起きている。右のように明度に差をつけて調整する必要がある。
色の面積効果(面積対比)
色の面積効果とは「面積対比」とも呼ばれ、同じ色でも面積が大きい方が明度、彩度ともに高く、鮮やかに見える現象のことです。
インテリアコーディネーターのあるあるですが、壁紙やカーテン、ラグなどを決める際に小さなカラーサンプルを用いて検討する場面があります。
この小さなカラーサンプルを用いて色味を選んだ際に、いざ完成した(納品された)壁紙・カーテン、ラグを見ると「あれ、こんな明るい色味選んだっけ?」と感じることがあるのです。
これがまさに「色の面積効果(面積対比)」からくる現象で、色味を決定する際は実物を確認するか、小さなカラーサンプルを用いて色味を選ぶ場合は希望の明度よりやや暗めの色味を選ぶ必要があります。
▲「想像していた白よりも、明るくなりすぎてしまった!」とならないように注意!
色の視認性(視認度)
出典:色彩101
色の視認性(視認度)とは、意識して探したときの対象の見つけやすさのことです。
例えば駅のホームへ行きたいときに、頭上にいくつもならぶ案内表示板の中から路線を探すような時です。
またトイレを探しているときや、出口を探している時にも視認性の高さが求められます。
文字や絵など形として認識される「図」と、その背景として認識される「地」の明度差が大きいと視認性が高く、黒背景だと暖色系、白背景だと寒色系が視認性が高くなります。
出典:e連載ブログ
▲最も視認性が高いのは背景が「黒」で文字が「黄」という配色で、次に高いのがその反対の配色となる。工事現場で目にする看板など危険を示すことに使われることが多い。特に道路標識は視認性の高い配色によってデザインされていて、「青地」に「白」もドライバーに見えやすい配色。
色の感情効果
色にはそれぞれ特徴があり、見る人によって様々な感情やイメージを引き起こすなど、私たちの心理や行動に大きな影響を与えています。
色がもつ特徴を利用したものにカラーセラピーと呼ばれる心理療法があります。
その起源は古代エジプト時代にまで遡り、色によって心身のバランスを整える効果が期待できることからカラーセラピーをカリキュラムに取り入れる医療施設や福祉施設も増えてきています。
暖色/寒色/中性色
出典:日経XTREND
暖色(だんしょく)とは、「赤」「オレンジ」「黄」などのように、太陽や炎から連想されるような温かみを感じる色のことです。
色から感じるイメージには「危険」「緊急」などのような警告を伝えるものもあります。
▲これはかなり極端なインテリアだが、暖色を使うといかにも暖かそうな雰囲気になる。
寒色(かんしょく)とは、「水色」「青」「青紫」などのように、水や氷から連想されるような冷たさを感じる色のことです。
色から感じるイメージには「冷静」「冷酷」などのように、冷たさから連想されるものが多くなっています。
出典:DECORAID
▲ブルーカラーは爽やかな雰囲気を演出できるため、1年中季節に関係なく取り入れやすい。
中性色(ちゅうせいしょく)とは、「緑」「黄緑」「紫」などのように、寒色にも暖色にも無彩色にも属さない色のことです。
出典:ITALIANBARK
▲近年、爆発的な人気となったのが中性色を使用したニュートラルカラーのインテリア。無彩色や中間色と合わせるとナチュラルで飽きのこないインテリアスタイルとなる。
純色に対して灰色を加えてできる色のことを中間色(ちゅうかんしょく)と呼びますが、似ている言葉なので間違えないようにしましょう。
▼中間色って何なん?という方はコチラから▼
興奮色/沈静色
興奮色(こうふんしょく)とは、暖色系で彩度が高い色のことで、気持ちを高揚させ興奮感を与える効果があります。
出典:druHomes
▲一見使いにくそうな興奮色だが、無彩色やアースカラーと合わせて統一感を出すことによって、洗練されたインテリア空間にすることが出来る。
沈静色(ちんせいしょく)とは、寒色系で彩度が低い色のことで、気持ちを落ち着かせる沈静効果があります。
出典:Decorilla
▲心を落ち着かせる沈静色のインテリアは、ゆっくり寛ぎたい自宅のインテリアに最適。
進出色/後退色
出典:3色パステルアート
▲赤や黄は進出色のため、パソコンのキーボードのように手前に飛び出して見えるが、青は後退色のため、まるで穴が開いているように見える。
進出色(しんしゅつしょく)とは、近くに見えるように感じる色のことで、暖色系や明度の高い色がこれに該当します。
反対に遠くに見えるように感じる色のことが後退色(こうたいしょく)で、寒色系や暗い色のことを指します。
■最も事故を起こしやすい車のボディカラー
一番事故が発生しやすい車の色は、「青」などの寒色系という統計があります。
これは、車を運転する際に進出色に比べて実際よりも遠くに感じるため、周りの車の運転手が、実際には近いことを認識できずに、他の色よりも事故が発生しやすい(巻き込まれやすい)と言われています。
反対に一番事故率が低いボディカラーはシルバーで、進出色にあたります。
膨張色/収縮色
▲膨張色である赤は、収縮色の黒に対して膨張して大きく見える。
膨張色(ぼうちょうしょく)とは膨張して見える色のことで、高明度・高彩度の色が膨張して見えます。
収縮色(しゅうしゅくしょく)とは収縮して見える色のことで、低明度・低彩度の色が収縮して見えます。
▲膨張色である白をメインカラーに使用したインテリア
軽い色/重い色
上図の左の色群は、右の色群よりずいぶんと軽そうに見えます。
このように、明度が高い色は軽そうに見え、明度が低い色ほど重そうに見えます。
インテリア計画では、明度の高い色を使うことで軽快で爽やかな空間を演出し、明度の低い色を使うことによって重厚感を醸(かも)し出すことができます。
出典:NADINE STAY
▲重厚感のあるインテリアにするときは、色味だけでなく石や金属などといった素材感も重要となる。
柔らかい色/硬い色
軽い色と重い色にちょっと似ていますが、暖色系で明度が高く、彩度が低い色は、柔らかい印象を受ける色に見えます。
一方、寒色系で明度が低く、彩度が高い色からは、硬い印象を受けます。
ナンタルカのまとめ
■色の対比
隣り合った色が影響し生じる現象のことを(①)といい、色相対比や補色対比などの種類がある。また、ある色を一定時間見つめた後に補色の残像である心理補色がチラついて見える現象を(②)という。
■その他の色の心理効果
(1)ある色が他の色に囲まれ、囲まれた色が小さく、互いの色が似通った色の時、囲まれた色が周囲の色と見分けがつきにくくなる現象を(①)という。また、隣り合う色の明度差が小さい場合に起こりやすい、色同士の境界線がチカチカとハレーションを起こして図や文字が読みにくくなったり、縞模様などで2つの色の輪郭があいまいになったりする現象のことを(②)という。
(2)同じ色でも面積が大きい方が明度、彩度ともに高く、鮮やかに見える現象のことを「色の(①)」といい、(②)とも呼ばれる。また、意識して探したときの対象の見つけやすさのことを「色の(③)」という。
■色の感情効果
「緑」「黄緑」「紫」などのように、寒色にも暖色にも無彩色にも属さない色のことは(①)、寒色系で彩度が低い色のことで、気持ちを落ち着かせる効果のある色は(②)、近くに見えるように感じる色のことで、暖色系や明度の高い色のことを(③)という。
お疲れ様でした。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
わからないことや分かりにくい箇所があれば、ぜひお問い合わせよりご連絡ください。
▼次回、色彩計画はこちらから!▼