こんにちは、しけたむです!
この記事では
- 「カラースキームってなんですか?」
- 「アソートカラーとアクセントカラーの違いについて知りたい。」
という皆様に向けて、色彩計画について画像で解説します。
インテリアの色彩計画
魅力的でまとまりのあるデザイン空間を創り出すために、色の持つ心理的・物理的な性質を利用しながら配色を計画することを『カラースキーム(色彩計画)』といいます。
どのようなデザイン空間としてゆくかは依頼者によって千差万別で、目的に合ったカラースキームを提案するためには依頼者から正確な要望を聞き取る必要があります。
このカラースキームで重要なことは、床や壁、天井といった面積の大きな部分を占める
『ベースカラー(基調色)』
カーテンやソファなどの中面積でベースカラーに変化を与える
『アソートカラー(配合色)』
絵画やクッションなどの小面積に使用する
『アクセントカラー(強調色)』
を適度に組み合わせることで、まとまりのあるインテリア空間を創り出すことといえます。
ベースカラー(基調色)
床・壁・天井など空間の大部分を占め、一般的には長期間変更しない部分の色がベースカラー(基調色)です。
ベースカラーを変更する場合、壁の塗り直しや壁紙、フローリングの張り替えなど、ちょっと面倒な工事を伴いますので、有彩色にもマッチする(調和する)白やグレーなどの無彩色系のカラーがよく選ばれます。(無難な色という意味で。)
▲天井や壁は圧迫感を与えないよう高明度・低彩度の白系を、床は低明度のフローリングなどの木色系が選ばれることが多い。
ベースカラーをシンプルにしておけば、どのような家具が持ち込まれても不調和が起きにくくカラフルな家具を置いても美しくまとまりやすいので、賃貸住宅や分譲住宅など完成した段階でまだ誰が住むか決まっていない場合にこのようなケースがよく見られます。
▲同じ白でも天井は木に塗装した白、壁には壁紙の白など、素材を変えて明度や彩度に変化をつければ単調な空間となりにくい。
また、注文住宅やリフォーム・リノベーションを行う際には、無彩色だけでなく有彩色を使用したベースカラーも人気です。
出典:Spruce
▲日本では敬遠されがちな暖色系の有彩色だが、思い切って使えば一気に海外インテリアっぽい空間となる。高明度でも彩度が低ければベースカラーにも使用しやすい。
▲寒色と無彩色でまとめたインテリア例。ブルーにはグレーを混ぜた中間色を用いると上品で落ち着いた空間となる。
▲壁面は緑の中間色と白が塗り分けられている。天井は木色を採用することで落ち着いた空間に。
▼中間色って何なん?という方はこちらから▼
アソートカラー(配合色)
ソファやキャビネット収納、カーテンなどの中面積でベースカラーに変化をつけるのがアソートカラー(配合色)です。
ベースカラーと同一、または類似の色相で、明度や彩度で変化を付けるとまとまりのあるインテリア空間となります。
出典:Porcelanosa
▲アソートカラーにベースカラーと同じ無彩色の系統でまとめたインテリア空間。
出典:UPGRADEDHOME
▲グリーン系統の色相に明度と彩度で変化をつけたアソートカラー
▲無彩色のベースカラーに有彩色であるブルーとイエローのアソートカラーでまとめた空間。
アクセントカラー(強調色)
クッションやブランケット、アートなどのインテリアアクセサリーを使用した小面積の色がアクセントカラー(強調色)です。
ベースカラーやアソートカラーとは異なり季節や気分などによって頻繁に取り替えることが可能なので、ちょっと奇抜で使いにくそうな色味でもアクセントとして取り入れることができます。
出典:AD
▲ベースカラーとアソートカラーをシンプルな無彩色でまとめれば、アクセントカラーが奇抜なカラーでもまとまりのある空間とすることが出来る。
出典:INDEPENDENT
▲ひとつの空間内で使用する色の数を5色以内でまとめると全体の色彩が調和しやすい。
▲ベースカラーとアソートカラーが有彩色の場合は、同系統の色相でアクセントカラーをチョイスしてあげるとうるさくならない。
配色のテクニック
カラースキームでは色の位置関係や面積関係に留意するほか、表面の材質にも注意する必要があります。
面積の大きい色相は小さいものより明度と彩度が高く見える(面積対比)ということは前回の記事で紹介しましたが、同じ面積でも表面の材質の違いによって色の見え方は異なります。
出典:MARUKINKAGU
▲光の反射率の高いウレタン塗装を使った家具やフローリングは、反射率の低いオイル塗装よりも明度や彩度が高く見える。
▼面積対比はコチラの記事で紹介しています▼
セパレーション(分離効果)
またカラーコーディネートを進めていると、色と色の境目が不明瞭になりやすい場合がありますが、白、黒、グレーなどの無彩色や金、銀、黒などの金属色などを使用してセパレート(色と色を分ける)することにより明瞭にする『セパレーション(分離効果)』といったテクニックもあります。
出典:Ideal home
▲壁面の類似色相を白いラインで分けた例。
出典:P&PL
▲壁面の白と腰壁のグレーを黒いラインでセパレートした例。
出典:P&PL
▲天井と壁面の境にあるモールディングはもともと中世に装飾として発展したが、セパレーションとしても使用される。
ムーン&スペンサーの色彩調和論
色彩の調和と不調和についてを理論化したものに『ムーン&スペンサーの色彩調和論』があり、インテリア業界だけでは無く、デザイン業界全般に知られています。
この色彩調和論は、アメリカ人の色彩学者パリー・ハイム・ムーン(1898 – 1988 )と奥さんでイギリス人の色彩学者ドミナ・エバリー・スペンサー(1920 – )によって、1944年に考案された理論です。
この理論はマンセル表色系の色相を基にしていて、
色彩には「同一調和」、「類似調和」、「対比調和」という3つの調和域があり、その間に挟まれた領域が「不調和域」となる。
という理論です。
▼マンセル色相環って何だっけ?て方はコチラから▼
同一調和
同一調和(どういつちょうわ)とは、「同じ色相同士」による配色方法です。
例えば「赤」という色相に対して同じ「赤」という色相であれば、明度や彩度が異なっていても基本的に調和するという理論です。
これはまあ、当然と言えば当然ですね。同じ色相ですから。
出典:YOSHITAKE
出典:Homenish
▲同じ色相なら明度や彩度が違っても調和する。明度が強すぎるとドギツい印象になるので注意!
類似調和
類似調和(るいじちょうわ)とは、マンセル色相環上で「基準となる色から色相差が25°~43°の角度間にある色同士」による配色方法で、3つの調和域の中で最も使用頻度が高い配色方法といわれています。
下のマンセル相関図で見ると、「赤」の色相を基準とした場合、左右それぞれ25°〜43°の角度間にある色は「赤紫」と「黄赤」となるのでこれらは調和するということになります。
また「黄」の色相を基準とした場合は、「黄赤」と「黄緑」が調和する色となります。
出典:YOSHITAKE
出典:Investitor
▲「赤」を色相の基準とした「赤紫」と「黄赤」の同一調和を用いたインテリア例。
▲「黄」を色相の基準とした「黄赤」と「黄緑」の同一調和を用いたインテリア例。
対比調和
対比調和(たいひちょうわ)とは、マンセル色相環上で「180°離れた補色同士」とその左右「100°から260°の広い範囲の色同士」による配色方法です。
この2色の色調は全く共通性がないことから、高明度ではコントラストの強い配色となりやすく、派手で主張性の強いイメージは広告業界などでも多用されています。
出典:YOSHITAKE
▲対比調和は明度の同じ色が隣接するとリープマン効果が生じるので、どちらかの色相に白や黒を入れるか、明度や彩度に差をつけるようにすることが重要。
▼リープマン効果って何だっけ?ならコチラから!▼
対比調和は、以下の図のように補色だけでなく「100°から260°の広い範囲で調和する」としていますが、この角度の範囲内でも明度や彩度の差によっては不調和になる場合があるので注意が必要です。
出典:YOSHITAKE
▲赤と緑は高明度だとリープマン効果の発生する組み合わせだが、彩度を下げると素敵な空間に。
▲黄色と青のいわゆるTSUTAYAカラーでも明度・彩度の調整と無彩色との組み合わせによってまとまりのある空間となる。
ナンタルカのまとめ
■色彩計画
(1)インテリアにおける色彩計画のことを(①)という。この(①)で重要なことは、床や壁、天井といった面積の大きな部分を占める(②)、カーテンやソファなどの中面積でベースカラーに変化を与える(③)、絵画やクッションなどの小面積に使用する(④)を適度に組み合わせることで、まとまりのあるインテリア空間を創り出すことといえる。
(2)色彩の調和と不調和の理論で有名なものに(①)がある。これは、色彩には色相の近い順に(②)、類似調和、(③)という調和域があり、この調和域以外の部分は不調和域であるという理論である。
(3)色と色の境目が不明瞭になった箇所を無彩色や金属色などを使用してセパレートして明瞭にするテクニックを(①)という。
お疲れ様でした。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
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