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デ・ステイルとは?代表的なメンバーと家具や建築の特徴を画像で解説

デ・ステイル

 

こんにちは、しけたむです。

この記事では

  • 「抽象的な造形や絵画に興味がある。」
  • 「赤、青、黄色の3色デザインがすごい気になる。」

という方々に向けて

20世紀に流行したデザイン運動のデ・ステイルについて分かりやすく画像でご紹介していきます。

 

ナンタルカ
ナンタルカ
第一次世界大戦後のオランダでは抽象的な造形への関心が高まって、デ・ステイル派のデザイナーが台頭したんだにゃ!特徴的な赤・青・黄の3色構成はきっと誰もがどこかで見たことあるはずですにゃあー

 

 

デ・ステイル

Composition a DE STIJL出典:WIKIART

▲『Composition A』(1923) Piet Mondrian

 

第一次世界大戦後のオランダでは、幾何学的(※)で抽象的な造形への関心が高まりデ・ステイル(デ・スティル)派の作家が台頭しました。

※幾何学的(きかがくてき)とは

自然には作られない形で、人工的に作られる形のことを指す。
三角や四角、丸、直線などの形が基本で、それらを用いて作られた模様を「幾何学模様」という。

 

『DE STIJL(デ・ステイル)』とは、1917年にオランダで創刊された雑誌の名称で、日本語で「様式」、英語だと「THE STYLE(ザ・スタイル)」という意味です。

デ・ステイル 表紙出典:Wikiwand

▲デ・ステイル(DE STIJL)1922年8月号の表紙

 

デ・ステイルの理念は、グループの重要なメンバーでもあるオランダの画家「ピエト・モンドリアン」が主張した「新造形主義(ネオ・プラスティシズム)」と呼ばれるものでした。

新造形主義とは言葉で説明すると難しいですが、辞典から抜粋すると次のような意味となります。

 

新造形主義とは、いっさいの再現的、偶然的、恣意(しい)的な要素を絵画から追放し、水平、垂直の2線分と、三原色および無彩色の配合によって生命力の根源を暗示する秩序と均衡ある構成を生もうとするものである。

ー日本大百科全書よりー

 

新造形主義 ピエト・モンドリアン出典:Collection Online

▲絵画の対象を単純な線のみの構成で表現した新造形主義の絵画『Stilleven met gemberpot II(炊飯器と静物II)』(1911−1912) ピエト・モンドリアン

 

ナンタルカ
ナンタルカ
新造形主義を簡単に言うとにゃ、今までの人物や風景を見たまんま忠実に描く絵画とは違って、線は垂直線と平行線だけ、色は赤・青・黄と無彩色だけを使って、幾何学的で抽象的な構成で人物や風景を表現するというような主義のことですにゃあ。

 

ピエト・モンドリアン

ピート・モンドリアン出典:Recherche

 

ピエト(ピート)・モンドリアン(1872年 – 1944年)は、19世紀末から20世紀のオランダ出身の画家で、本格的な抽象絵画を描いた最初期の画家とされています。

 

初期には風景画などを描いていたモンドリアンでしたが、次第に抽象画へ移行しました。

有名な『リンゴの樹』の連作を見ると、樹木の形態が単純化され、完全な抽象へと向かう過程が読み取れます。

Evening,red tree出典:Medium

▲ピエト・モンドリアンが1909年に描いた『Evening,red tree』

 

Grey tree出典:Medium

▲1911年に描かれた『Grey tree』

 

リンゴの樹出典:Piet mondrian

▲1912年に描かれた『Apple tree ,Bloosaming』では完全な抽象画となっている

 

1921年頃になると水平と垂直の直線のみによって分割された画面に、赤・青・黄の三原色のみを用いるというストイックな原則を貫いた一連の作品が生み出されます。

 

この3原色を組み合わせたカラーはモンドリアン・カラーと呼ばれました。

ピエト・モンドリアン Composition出典:Wikimedia commons

▲モンドリアンの代表作『Tableau Ⅰ』(1921)

 

絶好調に見えたピエト・モンドリアンでしたが、デ・ステイルのリーダーをしていたテオ・ファン・ドゥースブルフは、ピエト・モンドリアンが主張した絵画を重視した新造形主義では無く、建築を重視した垂直と水平だけでなく「対角線(斜線)」を導入した『要素主義(エレメンタリズム)』を主張していた為、2人は対立してしまいます。

テオ・ファン・ドゥースブルフ出典:terasos de famosos

▲1917年にピエト・モンドリアンらと共にデ・ステイルを結成した「テオ・ファン・ドゥースブルフ」は新造形主義・抽象絵画の普及に努めた。講師にはなれなかったが、バウハウスとの交流もあり、自身の思想をバウハウスに浸透させることに成功した。

 

ナンタルカ
ナンタルカ
リーダーのドゥースブルフは、新造形主義を絵画より「建築」で表現することを重視していたにゃ。でも「建築や家具、インテリアで新造形主義(立方体・直方体・非曲面)を徹底するのって無理じゃね?」ってなって、「じゃあせめて斜めの線はOKにしとくか」ってことで要素主義が主張されたんですにゃあ〜

 

要素主義に反対していたモンドリアンはドゥースブルフと対立した為、1925年にデ・ステイルを脱退してしまいます。

 

デ・ステイルを脱退したモンドリアンは、別の抽象画家のグループに参加するなどしながら、パリで「コンポジション」シリーズの作品をずっと描き続けました。

コンポジション No.10出典:Wikimedia Commons

▲『Composition No. 10』(1939−1942)

 

1965年、フランスのデザイナー『イヴ・サンローラン』はピエト・モンドリアンの作品に着想を得て、モンドリアンルックと呼ばれるワンピースを発表しています。

モンドリアンルック出典:designKULTUR

▲初めてアートをファッションに取り入れたサンローランの『モンドリアンルック』

 

2013年にはピエト・モンドリアンにインスパイアされたシャネルがモンドリアンカラーの財布をデザインしています。

シャネル モンドリアン 財布出典:SILKY 1WAY

▲シャネルの2013年スプリングコレクション。もちろん即完売だったそう。

 

絵画を平面として捉えて額縁を取り除き、何かの描写ではない一つのそれ自体として完成された表現としての絵を追求したモンドリアンの姿勢は、現代の抽象表現主義やミニマル・アートに受け継がれています。

 

ナンタルカ
ナンタルカ
今でもモンドリアンカラーは建築やインテリアだけじゃにゃく、ファッション、絵画やプロダクト作品などなど、色んな分野で親しまれているんだにゃ!

 

 

 

同じくデ・ステイルを代表するメンバーとして、『赤と青の椅子(レッド・アンド・ブルー)』『ジグザグチェア』『シュレーダー邸』などで知られるヘリット・トーマス・リートフェルトがいます。

 

ヘリット・トーマス・リートフェルト

トーマス・リートフェルト出典:idesignWIKI

 

ヘリット・トーマス・リートフェルト(1888年 – 1964年)はオランダの建築家、デザイナーで、デ・ステイルに参加して多くの作品を残しました。

 

リートフェルトは1888年に家具職人の息子としてオランダのユトレヒトで生まれ、父のもとで家具修業を行います。

ユトレヒトで製図技師として働いた後、23歳になる頃にはキャビネットメーカーとして事業を開始し、1917年の29歳の時に赤と青の椅子(レッド・アンド・ブルー)(※)をデザインすると、リートフェルトの代表的な家具作品になりました。

(※完成当時はまだモンドリアンカラーの塗装は施されていなかった)

ヘリット・トーマス・リートフェルト出典:rietveltorigen

▲『赤と青の椅子』に座るリートフェルト(中央)と家具工場のスタッフたち(1919年頃)

 

リートフェルトは家具が最終的に手作りではなく大量生産されることを期待して、徹底的な簡素化を目指します。

1918年、ピエト・モンドリアンらとともに芸術運動デ・ステイルに参加すると、メンバーからの影響をうけたリートフェルトは、椅子の色をモンドリアンカラーへ変更しました。

赤と青の椅子 Red and Blue chair出典:MoMA

 

多くの刺激的な建築とプロダクトを生み出したリートフェルトは、家具デザイナーとして『赤と青の椅子(レッド・アンド・ブルー)』、『ジグザグチェア』を、建築家としては世界遺産にも登録されている『シュレーダー邸』という有名な作品を残しました。

リートフェルト ベルリンチェア出典:rietveltorigen

▲リートフェルトの傑作は多い。1923年にデザインした『Berlin chair』は8枚の板で構成されたデ・ステイルの基本原則を表している。

 

L40 ペンダント TECTA出典:rietveltorigen

▲3本のチューブ状の照明で構成された『L40 PENDANT LAMP』(1922年)はオランダにある病院の診察室のためにデザインされベストセラーとなった。

 

赤と青の椅子(レッド・アンド・ブルー)

赤と青の椅子 レッド・アンド・ブルー出典:VNTG

 

家具が好きな方なら誰もが一度は見たことがあるであろう『赤と青の椅子(レッド・アンド・ブルー)』は、1917年から1918年頃にデザインされたモンドリアンカラーの椅子で、ヘリット・トーマス・リートフェルトの代表作品です。

 

デ・ステイルの中心人物であったピエト・モンドリアンの絵画『赤・青・黄のコンポジション(先述)』からインスパイアされ、モンドリアンの新造形主義を三次元へ投影する最初の試みとしてこの赤と青の椅子が製作されました。

 

現在はイタリアの高級家具メーカー『Cassina(カッシーナ)』にて、復刻版が販売されています。

 

ナンタルカ
ナンタルカ
実はこの赤と青の椅子、1920年ごろまで塗装がされて無くてにゃ、ブナ材で組まれただけの素朴な椅子だったんにゃ。でもデ・ステイルのメンバーからアドバイスがあって、現在のようなカラーリングになったんだにゃ。

 

RED and BLUE chair proto出典:I Design Wiki

▲初期に製作されたプロトタイプの『Red and Blue chair』

 

ジグザグチェア

ジグザグチェア ZIGZAG出典:Kirkland museum

 

ヘリット・トーマス・リートフェルトのもう1つの代表作品ジグザグチェア(ZIG-ZAG)は、究極にシンプルな椅子として1934年に製作され、多くのデザイナーに多大な影響を与えてきました。

 

製作当時はスチールを曲げ加工していたのですが、その後カッシーナの優れた木工技術により、4枚板の組継ぎを隅木(すみぎ)で補強する手法を用いたこの椅子は、一切金属のジョイント類を使用せずに作られています

ジグザグチェア ZIGZAG出典:Мебель и проекты

▲ジグザグチェアにはレッド、ブルー、イエローなどのモンドリアンカラーのカラーバリエーションが揃えられている。

 

繊細な美しいデザインからは想像もできない頑丈さと、座り心地の良さを兼ね備えたリートフェルトの傑作のひとつです。

 

ナンタルカ
ナンタルカ
ジグザグチェアをモンドリアンカラーで揃えたらすっごい可愛い予感がしますにゃあ!

 

シュレーダー邸

シュレーダー邸出典:dazeen

 

シュレーダー邸は、オランダのユトレヒト市内にあり、1924年にヘリット・トーマス・リートフェルトによって設計された住宅です。

夫を亡くしたシュレーター夫人と3人の子供たちのために建てられた住宅で、デ・ステイル建築を代表する作品として世界遺産に登録されています。

 

ピエト・モンドリアンの抽象画を建築化したかのような外観で、白・灰の面と黒・赤・黄・青の線によって構成されています。

シュレーダー邸出典:dazeen

▲全て直線で構成された室内と家具。

 

鉄筋コンクリート造では高価になるため、壁を漆喰塗りの煉瓦造とし、床と屋根は木造となっています。

シュレーダー邸出典:dazeen

▲室内のカラーリングは木を除くと赤、青、黄と無彩色のみ。

 

シュレーダー夫人は1985年に亡くなるまで、この邸宅で生活を送りました。

現在では修復が行われ、ミュージアムとして訪問者のために開放されています。

シュレーダー邸出典:dazeen

▲レッド・アンド・ブルーが置かれた2階の部屋。赤い床が眩しい。

 

ナンタルカ
ナンタルカ
シュレーダー邸の設計をシュレーダー夫人から依頼されるまで、リートフェルトは家具のデザインしかしたことが無くて、建物の設計経験が無かったにゃ!でもデ・ステイル運動の熱心な推進者だったシュレーダー夫人の強い希望があって、設計を引き受けたんだにゃ!

 

 

ナンタルカのまとめ

ナンタルカのまとめ

 

ナンタルカ
ナンタルカ
今回の記事で絶対におさえておきたいポイントですにゃ!

 

まとめ小テスト

 

■デ・ステイルとは

第一次世界大戦後のオランダでは、幾何学的で抽象的な造形への関心が高まりデ・ステイル派の作家が台頭した。デ・ステイルの理念は、グループの重要なメンバーでもある(①)が主張した(②)(ネオ・プラスティシズム)であり、水平、垂直の2線分と、三原色および無彩色で表現を行おうとするものであった。この3原色を組み合わせたカラーを(③)と呼ぶ。

回答を見る
①ピエト・モンドリアン ②新造形主義 ③モンドリアンカラー

 

■デ・ステイルの代表的な作家

デ・ステイルの代表的な作家はオランダの(①)が有名で、家具ではピエト・モンドリアンの絵画『赤・青・黄のコンポジション』から影響を受けて製作した(②)や究極にシンプルな椅子として製作された(③)があり、建築では新造形主義をそのまま住宅にした様な(④)があり、世界遺産に登録されている。

回答を見る
①ヘリット・トーマス・リートフェルト ②レッドアンドブルー(赤と青の椅子) ③ジグザグチェア ④シュレーダー邸

 

お疲れ様でした。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

分かりにくい点やお気づきのことがあればメールでご連絡ください。

 

では、次回もお楽しみに!

 

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