こんにちは、しけたむです!
この記事では
- 「水回りのバリアフリー計画について注意点を理解したい。」
- 「デザインも重要だけど、暮らしやすいことも重要だよね。」
という皆様に向けて、
浴室、洗面所、トイレのバリアフリー計画について画像で解説します。
▼エクステリア、玄関、階段のバリアフリー計画はこちら▼
空間別バリアフリー計画②
浴室のバリアフリー計画
出典:住友林業のリフォーム
高齢者の方や障がいを持つ方など、介護を必要とする人にとって一般的なユニットバスには以下のような危険なポイントがあります。
- 床から浴槽までの高さが高い → 浴槽をまたぐ際の引っ掛かり転倒
- 浴槽が深い → 不慮の溺水(できすい:おぼれること)
- タイル張りの床 → すべりによる転倒
- 出入り口に段差がある → 段差のつまずきによる転倒
しかし浴室をバリアフリー化すれば、利用者の方はもちろん、介護をする方にとっても浴室内を安全性の高い空間にできます。
扉を引き戸か折り戸にする
出典:khabarplanet
▲片側引き戸の浴室ドア
浴室をバリアフリー化するのであれば、まずチェックしたい改修項目が扉です。
古い浴室の場合、扉が浴室内への開き戸になっているケースがありますが、開き戸は開閉する際に力が必要なので、力の弱い高齢者の方にとってはバランスを崩しやすく転倒しやすいといった危険性があります。
また、開き戸だと出入り口のスペースが狭く、車いすや介護者が一緒に入れないという難点もあるので、浴室の扉は引き戸か折り戸にすると安全かつ機能的です。
有効開口幅は最低600mm以上、推奨値として800mm以上は欲しいところです。
出典:all about
▲開き戸は浴室で多く採用されているが、内側で人が倒れると開きにくくなる恐れがある。
出入り口の段差を少なくする
出典:リフォマ
浴室の出入り口には浴室内の水が脱衣所に流れ出ないよう、あえて段差をつけているタイプが多くあります。
段差は数cmでも高齢者や障がい者の方にとってはつまずきやすい危険ポイントとなるため、ここも段差無しのバリアフリーとしたいところです。
出典:株式会社リーBEST
▲築25年のマンションの浴室リフォームの例。浴室の入り口に段差があるのは当たり前だった。
適切な広さにして手摺りを設置する
出典:Interior
▲理想的なバリアフリーの浴室。上図では短辺方向の内法寸法1,400mm、長辺方向の内法寸法1,800mmで、面積は2.52㎡となる。3枚引き戸の有効開口は750mmと書いてあるが、実際には800mm以上は欲しいところ。
浴室の広さは、平面の短辺方向の内法寸法1,300mm以上(推奨値1,400mm以上)、面積2㎡以上(推奨値2.5㎡以上)とし、浴槽の横に腰掛け台を設置しても入浴行為に支障が出ない程度のスペースを確保しましょう。
手摺りは、浴槽への出入り、浴槽内での立ち座り、姿勢保持、洗い場での立ち座りのために水平・垂直方向の手摺りを用意します。
適切な浴槽の高さにする
出典:enessance
深い浴槽や、床から浴槽まで高さがあるユニットバスだと出入りする際に転倒する危険性が高くなります。
また介護者の視点から見ても、深い浴槽や床から浴槽まで高さがあるユニットバスだと介助時に腰を痛めやすくなるため、浴槽の高さは300〜500mm(推奨値350〜450mm)以内に抑えるのがベストです。
浴槽の縁は腰掛けて浴槽に出来る形状のものとし、浴槽の底は滑り止めの凸凹がついたものがベストです。
出典:Daiwakasei
▲浴槽の縁に腰掛けてから入浴できるようになっている浴槽。
滑りにくい床にする
出典:Yahoo!ショッピング
▲滑りにくくクッション性のある浴室用マット。既存の床の上に置くだけで工事不要。
昭和時代に建てられた銭湯など、昔のお風呂の床といえばタイルが一般的でしたが、タイルは水に濡れると滑りやすいので転倒の危険性が高くなります。
そこで、浴室をバリアフリー化するのであれば床を滑りにくい床材とすることも重要で、近年は床材の種類も豊富になっているのでデザイン性も高く、クッション性のあるものや床からの冷気を遮断するタイプの床材などがあります。
▼一般的な浴室のサイズはこちらで解説しています▼
洗面所・脱衣室のバリアフリー計画
出典:HOMES
一般的な洗面台の高さは700mm~750mmに設定しますが、高齢者は腰をかがめる動作がつらい場合もあるので少し高めに設定すると楽に使用することが出来ます。
車椅子や椅子に座ったまま利用できるバリアフリー洗面台や、昇降機能が付いた洗面台を選ぶのがオススメです。
出典:新建ハウジング
▲手動で高さ調整ができる洗面台。洗面台の下には「下肢領域(かしりょういき)」と呼ばれる下部のあきスペースがあると、足を入れて座ったままでも使い易くなる。
ヒートショック
出典:学研ココファン
ヒートショックとは、急激な温度変化により血圧が乱高下したり脈拍が変動する現象のことで、血圧の急変により脳卒中や心筋梗塞などを引き起こす恐れがあります。
特に冬場など、エアコンなどで暖められたリビングからまだ冷たい脱衣室、浴室へ移動することにより発生し、高齢者の死因の4分の1を占める恐ろしいものです。
出典:DAIKIN
▲『ヒートショックが原因と推測される家庭の浴槽での溺死者数と交通事故死亡者数の推移』
住宅内での温度差を小さくすることにより防ぐことが出来るので、浴室や脱衣室に暖房を付けたり保温効果のある床材を使用したりすると、ヒートショックのリスクを軽減できます。
トイレのバリアフリー計画
出典:山栄ホーム
トイレのバリアフリー計画を行う際には、まずは誰がどんな風に利用するトイレなのかを整理することが大事です。
例えば、歩いてトイレに行ける人と、車椅子を利用してトイレに行く人とでは、トイレに備えるべき機能や、出入り口の広さ、必要な面積が異なります。
まずトイレは高齢者や車椅子の利用者の寝室近くに配置し、出入口の有効幅員は750mm以上、車椅子の場合は800mm以上が必要です。
出典:Panasonic
▲トイレは寝室の近くに配置する。ヒートショック防止のため、トイレには玄関からの冷気が入らないようにする。
建具は引き戸か外開き戸が必須で、鍵は万が一の際には外からも開錠出来るものにしましょう。
また手摺りは、立ち上がりと移動のためにL型手摺りが有効です。
出典:株式会社絆
▲段差の無い、大きく開く引き戸が理想的なトイレの建具。
トイレの広さは、長辺が内法寸法で1,300mm以上を確保するか、便器の前方、または側方に介助スペース500mm以上を確保します。
出典:Panasonic
▲理想的なバリアフリーのトイレには介助スペースが必須となるため2㎡近くの面積が取れると良い。
便器やボタン類については、最近ではどこにでも見かけるようになった多目的トイレが参考になります。
ボタンは大きく、押しやすい位置に、またはセンサーで自動洗浄できる多機能タイプも使い易くオススメです。
出典:Livedoorニュース
▲操作ボタンは大きく押し易いこと、分かりやすいことが求められる。
ナンタルカのまとめ
■浴室のバリアフリー計画
(1)浴室の広さは、平面の短辺方向の内法(①)mm以上(推奨値(②)mm以上)、面積(③)㎡以上(推奨値(④)㎡以上)とし、浴槽の横に腰掛台を設置しても入浴行為に支障が出ない面積を確保する。
(2)浴室の出入り口は(①)mm以下の単純段差、もしくは水仕舞いを行った上で段差なしとして、有効幅員を(②)mm以上(推奨値(③)mm以上)とするのが望ましい。建具は(④)、または折り戸を原則とする。
■洗面所・脱衣室のバリアフリー計画
脱衣所では(①)が起きないよう、暖房設備を設けて他の部屋との温度差を解消するのが良い。また洗面台には、下部のあきスペースである(②)があると車椅子に乗りながら、または椅子に座った状態で使いやすい。
■トイレのバリアフリー計画
トイレは高齢者や車椅子の利用者の寝室近くに配置し、出入口の有効幅員は(①)mm以上、車椅子の場合は(②)mm以上が必要となる。広さは、長辺が内法寸法で(③)mm以上を確保するか、便器の前方か側方に介助スペース(④)mm以上を確保する。
お疲れ様でした。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
わからないことや分かりにくい箇所があれば、ぜひお問い合わせよりご連絡ください。
次回もお楽しみに!
▼次回、空間別バリアフリー計画③はこちらから▼