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【19世期の様式】ナポレオン帝政時代のアンピール様式の家具とその特徴とは?【世界のインテリアの歴史⑧】

ナポレオン エジプト遠征 ロゼッタストーン

 

 

こんにちは、しけたむです。

 

 

この記事では

 

 

  • 「ナポレオンが活躍した時代の家具に興味がある。」
  • 「近世のヨーロッパのインテリア様式についてざっくり知りたい。」

 

 

という方々に向けて、

 

19世紀、各国のインテリア様式の特徴を分かりやすく画像でご紹介していきます。

 

 

ナンタルカ
ナンタルカ
時代はいよいよ19世紀に入りましたにゃ!この時代も基本的にはネオクラシズムと同じように新古典主義が引き継がれていきますにゃ。でも少しずつ変化を求める人たちが出てきて・・・

 

 

 

 

 

アンピール様式(帝政様式)

民衆を導く自由の女神出典:MUSEY

▲フランスの画家ドラクロワが1830年に描いた『民衆を導く自由(の女神)』

 

 

アンピール(エンパイア)様式帝政(ていせい)様式とも呼ばれ、19世紀初頭のナポレオン1世の帝政期以降、フランスを中心にヨーロッパで流行した建築・家具・装飾などの様式です。

 

 

 

 

古代エジプトや古代ギリシャ・ローマなどの古典様式を規範とした新古典主義の流れを汲み、『アンピール(エンパイア)様式』という名前のとおり、帝国の威信を表現するような直線的で力強くシンメトリックなデザインに、豪華で重厚な装飾を加味した意匠が特徴的です。

アンピール様式 帝政 エンパイア出典:DAKIK HABER

▲アンピール様式は深紅のビロードや金色の装飾などで飾られ、ロココやバロックの豪華さと比べるとかなり力強く重厚感のある様式。

 

帝政様式 エンパイア アンピール出典:blog.napoleon-cologne.fr

▲フランスにある『オテル・ボーハルナイ』は、18世紀に建設され19世紀にアンピール様式に改装された。よく見るとエジプトチックな装飾が特徴的なインテリア。

 

 

古代の様式が18世紀に再注目されたのは、ナポレオンがエジプトへの戦争による遠征の際に、古代エジプトの考古学的遺産(ロゼッタストーンなど)を発見したことによるもので、当時古代のデザイン様式が再び注目され、流行しました。

ナポレオン エジプト遠征 ロゼッタストーン出典:日経ビジネス電子版

▲エジプトに遠征したナポレオンは、古代エジプトの栄光をフランス帝国の威信を誇示するために利用しようと考えた。当時、スフィンクスはまだ半分以上砂の下に埋まっていた『スフィンクスの前のナポレオン』(1867年)

 

 

ナンタルカ
ナンタルカ
ナポレオンの遠征の目的は戦争とは別に、古代エジプトの情報収集だったんにゃ!当時のフランス人たちは、エジプトに古代ギリシャやローマに匹敵する古代文明が存在していたと信じてて、学者と画家160人以上をエジプト遠征に同行させたんにゃ。結果として、ナポレオンはヨーロッパに「エジプト学」という分野を誕生させて、古代エジプト文明の歴史を世界に知らしめることになったんだにゃあ〜

 

 

▼ナポレオンによって発見されるまで世界に知られていなかった古代エジプト文明はこちらから▼

パルテノン神殿
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アンピール様式のインテリア

アンピール様式 帝政様式出典:Pancada

▲フランスのパリ西部にある『マルメゾン城』の一室。ナポレオン1世の元妻であるジョゼフィーヌが住んでいた。

 

 

アンピール様式の宮殿内は直線構成とシンメトリーでまとめられ、ナポレオンのイニシャルであるN文字が刺繍された家具や装飾が流行しました。

 

 

 

他に流行したモチーフとしては、

ライオンスフィンクス白鳥月桂樹女神戦士ロータス(蓮の花)

などのエジプトチックで、古代ギリシャや古代ローマで流行したモチーフが人気を博しました。

アンピール様式 ナポレオン N チェア出典:Etons of Bath

▲N文字とスフィンクスがモチーフのチェア。アームレストがちょっと使いにくそう。

 

アンピール様式 白鳥 チェア出典:Atelier Allot

▲白鳥がモチーフのチェア。金色ドットが素敵なアクセントに。

 

アンピール様式 壺 月桂樹出典:catawiki

▲月桂樹と下部には蓮の花がデザインされたペアの壺。取手の生物はぱっと見では何か分からない。

 

 

 

また、古代ローマを手本とした重厚感のある家具にはマホガニーローズウッドなどの堅木で赤茶色系の木材が使用されました。

アンピール様式 ウォルナット ローズウッド出典:Galerie Atena

▲トロフィー、月桂樹の冠、白鳥で構成された装飾と、各コーナーには帝政様式の典型的モチーフであるワシが飾られている。脚にはライオンのカブリオールレッグという豪華絢爛さ。

 

アンピール様式 ベッド出典:Eye for Design

▲どんな場所においても大きな存在感を放つ帝政様式ベッド。インテリアコーディネートで使用するにはやや難易度高め。

 

 

アンピール様式のインテリアでは深紅のビロード(ベルベットのような織物)金色の装飾などが好まれ、室内装飾で用いられたモチーフは家具にも使用されました。

アンピール様式 ベッド 寝室出典:Eye for Design

▲『マルメゾン城』のジョゼフィーヌの寝室。紅いベルベットのファブリックが印象的。

 

 

 

またナポレオンは、伝統工芸を支援していたため、ゴブラン織リヨンの絹織物などの再生にも貢献しました。

ゴブリン織 エンパイア出典:Gazette Drouot

▲帝政時代のゴブリン織『The Great Weaponry of the French Empire』(1808ー1811頃)

 

 

 

▼ゴブラン織はこちらの記事でも紹介しています▼

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ナンタルカ
ナンタルカ
アンピール様式の内装や家具に使われていたマホガニーローズウッドはとっても高級品で当時は植民地から調達していたんだにゃ!現在では過剰伐採による絶滅が危惧され、伐採が禁止されているんですにゃあ〜

 

エトワール凱旋門

エトワール凱旋門 パリ出典:The Amazing Life

 

 

パリのシャルル・ド・ゴール広場(旧称エトワール広場)中央に位置するエトワール凱旋門は、アンピール様式の代表的な建築物です。

 

 

 

ナポレオン1世が戦勝記念として建設を命じたもので、1836年に完成しました。

 

 

 

エトワール凱旋門を建設する際には古代ローマの凱旋門が参考にされ、古典様式を規範としたデザインとなっています。

エトワール凱旋門 ディティール出典:Encircle Photos

▲大きなアーチが印象的な凱旋門は新古典主義の代表的建築のひとつ

 

 

▼フランスが参考にした古代ローマの凱旋門はこちら▼

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ナンタルカ
ナンタルカ
そもそも「凱旋」とは戦いに勝って帰ることにゃ。凱旋門は戦争に勝ったお祝いとして造られる門のことで、完成後に行う凱旋式というパレードは古代ローマ時代から続いていたんですにゃあ〜

 

 

リージェンシー様式(摂政様式)

リージェンシー様式 ロイヤル・パビリオン出典:Number One London

▲イギリスの『ロイヤル・パピリオン』は1823年に建てられたイスラムと中国の折衷様式を持つ王室の離宮。当時はシンプルな宮殿だったが、国王ジョージ4世によってエキセントリックな折衷デザインへ変更された。

 

 

リージェンシー(Regency)様式摂政(せっしょう)様式とも言われ、19世紀初頭のイギリスで起こった様式です。

 

 

 

アンピール様式の影響を受けつつ、エジプトやイスラム、中国などの異国情緒を取り入れたインテリアが特徴的です。

ロイヤル・パピリオン出典:トラベルブック

『ロイヤル・パピリオン』はドームと列柱が印象的な外観に対し、内部は一転して竹、龍、蓮、塔といった中国的なシンボルや中国風の絵画・文様が随所に散りばめられ、西洋と東洋が混ざり合った奇妙かつ豪華な装飾で見る者を飽きさせない工夫がされている。

 

ロイヤルパビリオン ブライトン出典:Contry Life

▲ロイヤル・パビリオンの音楽室はアンピール様式の影響を受けながら、かなり東洋趣向が強いインテリアとなっている。右側の扉の上には竹が曲線上に貼られ、照明には蓮の花、壁紙には龍、暖炉の上にはフランス製の時計と日本製の磁器で作られた燭台が飾られている。

 

 

リージェンシー様式 摂政様式出典:Britannica

▲イギリスのリージェンシー様式の図書館。イオニア式オーダーは古代ギリシャ、アーチは古代ローマの古典様式となっている。エジプト風の家具はリージェンシー様式の代表的な家具作家トーマス・ホープの作品。

 

 

ナンタルカ
ナンタルカ
摂政様式と呼ばれるのは、イギリスのジョージ3世が病気になってしまって、代わりに息子の皇太子ジョージ(後のジョージ4世)が摂政皇太子(※)として統治した時期のインテリア様式だからだにゃ〜

(※摂政皇太子(せっしょうこうたいし)とは、君主に代わって摂政として君主国を統治する王子のこと。)

 

トーマス・ホープ

トーマス・ホープ リージェンシー 出典:Regency History

▲作家、哲学者、アートコレクターなど多彩な才能の持ち主だったトーマス・ホープ

 

 

リージェンシー様式はアンピール様式をベースにギリシア、エジプト、トルコ、中国といった異国の伝統的意匠を積極的に取り入れた様式です。

 

 

 

その中で、特にエジプト風デザインを採用し、イギリスで活躍した建築家であり家具作家のトーマス・ホープ(1769−1831)です。

 

 

 

もともとオランダのアムステルダムの裕福な商社の息子として育ったトーマス・ホープは、エジプト、トルコ、イスタンブールなど様々な国々をまわり、多くの絵画、彫刻、骨董品、本を収集しました。

 

 

 

それらの異国を旅した経験が、彼の作風に影響しています。

トーマス・ホープ チェア出典:MAAS Collection

▲トーマス・ホープが1802年にデザインしたエジプトスタイルのアームチェア。黒檀の木と、金箔が施されたブナの木が使用されている。中央に描かれているのは古代エジプトのイシス神。

 

トーマス・ホープ ベンチ出典:MAAS Collection

▲同じくトーマス・ホープが1802年にデザインしたエジプトスタイルの長椅子。4頭の獣はスフィンクスではなくライオンで、その下にはしゃがんだアヌビス神とホルス神が描かれている。シート部分のクッション材には馬の毛が詰められている。

 

 

トーマス・ホープ 家具出典:Pinterest

▲トーマスホープが1800年ごろにデザインした『Pier Table』は大理石の天板に、全体は金箔で覆われ、よく見ると下部にはガラスが嵌め込まれているというユニークなデザイン。

 

 

ウェッジウッド陶器

ウェッジウッド 陶器

出典:The Bradford Exchange

 

 

ウェッジウッドはイギリスの陶磁器メーカーで、ジョサイア・ウェッジウッドによって1759年に設立されました。

 

 

 

ウェッジウッドは古代ギリシア・ローマの古典的様式を取入れ、浮き彫りの彫刻(カメオカット)を施した『ジャスパーウェア』というシリーズをはじめとした、様々な陶器を製作しました。

 

 

 

優美な作風はジョサイア・ウェッジウッドの死後も受継がれ、現代も英国陶器界に君臨し広く愛用されています。

ウェッジウッド ポートランド出典:Allabout learn.com

▲古代ローマで作製された『ポートランドの壺』という作品をモデルにして、ジョサイア・ウェッジウッドが1790年に作製した同名のジャスパーウェア。2つの持ち手がついた壺の表面に、座ってくつろぐ人々が浮き彫りで描かれています。

 

 

ポートランドの壺出典:NEW ATLAS

▲古代ローマで作製されたオリジナルの『ポートランドの壺』。西暦25年ごろのもの。

 

 

ナンタルカ
ナンタルカ
イギリスの陶業は17世紀までロンドンやブリストルで生産されるデルフト陶器が一般的だったんだにゃ。デルフト陶器について「?」ならこちらからおさらいにゃあ〜

 

 

▼デルフト陶器はこちらの記事でご紹介▼

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ビーダーマイヤー様式

ビーダーマイヤー様式出典:NEST CASA

 

ビーダーマイヤー様式(独: Biedermeier)とは、19世紀前半のドイツやオーストリアを中心に

 

「もっと身近で日常的なものに目を向けよう!」

 

という考えから生まれた、一般市民向けの実用的な家具、絵画、文化のスタイルです。

 

 

 

 

ビーダーマイヤー様式の家具の特徴は、アンピール様式で使用されていたマホガニー材などの高級材は使用せず手ごろな価格の地元で入手可能な材料を使用して作られていることです。

 

 

 

ビーダーマイヤー様式の家具メーカーはアッシュ材などの安価な木材に染色して、「マホガニー材などの高価な木材の風合いに似せる」という工夫をおこなっていました。

ビーダーマイヤー様式 ソファ出典:STYLISH

▲ドイツで製作されたビーダーマイヤー様式のソファ(1820〜1830年)

 

ビーダーマイヤー ライティングデスク出典:STYLISH

▲オーストリアのウィーンで製作されたビーダーマイヤー様式のライティングデスク(1825年)

 

ビーダーマイヤー様式 家具 チェア

出典:1stDIBS

▲オーストリアで製作されたウォルナットを使用したアームチェア(19世紀頃)

 

 

家具製作に木工機械が利用されることにより大量生産が可能になり、デザインには現代と同じような実用性に優れたモダンな造形が見られるようになりました。

 

 

ビーダーマイヤーの語源は、ドイツの当時の小説に登場する架空の教員

 

『ビーダーマイヤー』

 

というキャラクターに由来すると言われています。

 

小説中のビーダーマイヤーは、家庭の団欒身の回りの食器や家具などに関心を向け、簡素で素材が心地よいものを好みました。

 

そこから転じて、当時の建築や工芸を『ビーダーマイヤー様式』と呼ぶようになったと言われています。

 

 

 

ビーダーマイヤー様式というのは日本ではあまり注目されていませんが、後のバウハウス(1919年にドイツに誕生した美術と建築の学校)にも大きな影響を与えたとも考えられています。

 

 

▼バウハウスについてはこちらの記事で詳しく解説しています▼

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ビーダーマイヤー様式は貴族ではなく市民のためのものなので、過度な装飾を省いた機能的でシンプルなデザインです。

 

 

 

ブルジョワ階級の人々が、親しい人と心地良い時間を過ごす空間としてのインテリアと言えます。

Biedermeier ビーダーマイヤー様式出典:Hisour

▲ベルリンのビーダーマイヤー様式の部屋の絵。敷き込まれたカーペット、機能的な家具、古典的な彫刻が描かれている。レオポルト・ツィールケ(1825年頃)

 

ビーダーマイヤー様式 出典:Andrew Cusack

▲ウィーンの画家『ニコラス・モロー』による、ビーダーマイヤー様式の家具が描かれた油絵(1830年)

 

ビーダーマイヤー様式出典:History of Art

▲ドイツの画家『ゲオルク・フリードリッヒ・カースティング』によるビーターマイヤー様式の部屋が描かれた油絵(1840年頃)

 

 

ネオゴシック(ゴシック・リバイバル)

ネオゴシック ゴシックリバイバル出典:Britannica

▲アメリカのシカゴにある『ホーリーネーム大聖堂』は1875年に建築されたネオゴシック建築

 

 

ネオゴシックとはゴシック・リバイバルとも呼ばれ、18世紀後半から19世紀にかけて興ったゴシック様式の復興運動です。

 

 

 

リバイバルとは復活・再評価を意味する言葉で、このゴシック様式の復興運動はイギリスを発祥とし、18世紀後半にはフランス、ドイツに、その後イタリア、ロシア、アメリカにまで広がりました。

 

 

 

 

そもそもネオゴシックは、ルネサンスから19世紀にわたる長い間ずっと人気を持ち続けていた『古典主義』の建築やインテリアに対して、イギリスの建築家や理論家たちが

 

「ずっと同じような建築を造り続けていいのだろうか・・・?」

 

という批判からスタートしました。

 

 

 

彼らはキリスト教会建築にしか使用されなかった中世のゴシック様式を再評価し、キリスト教会以外現代の建築設計にも応用しようとしたのです。

 

 

 

ナンタルカ
ナンタルカ
中世のゴシック様式は強大なキリスト教会の威厳を見せつける様式だったにゃ。それがネオゴシックとなってキリスト教会以外の住宅建築や公共施設にもゴシック様式の要素が取り入れられるようになったという点で革新的だったんだにゃ!

 

 

▼再評価された中世のゴシック様式についてはこちらから復習!▼

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ストロベリー・ヒル・ハウス

ストロベリー・ヒル・ハウス ネオゴシック出典:LONDONTOPIA

 

ネオゴシックの先駆けとして、政治家の『ホレス・ウォルポール』がロンドンに建てた中世ゴシック風の自邸ストロベリー・ヒル・ハウスはネオゴシックの典型です。

 

 

 

「ストロベリー・ヒル」というのは、かつてこの土地にあった小さな屋敷から見つかった古文書に記されていた、この土地の古い地名のことです。

ストロベリー・ヒル・ハウス インテリア出典:Discover Britain 

▲ストロベリーヒルハウス内の図書館には簡素なステンドグラスが飾られている

 

 

ウォルポールは友人たちとともに空想をふくらませ、様々な中世建築から自分好みの装飾を引用し、自邸のディテールを決定していきました。

 

 

 

そして1748年、いよいよウォルポールは自邸の建設に着手し、約6年の歳月をかけてゴシック風の自邸を造り上げました。

ストロベリーヒルハウス インテリア

出典:Discover Britain

▲ゴシック様式ってなんだっけ?と分からなくなりそうな、ホレス・ウォルポールが独自に解釈したゴシックの豪華な回廊

 

 

出来上がった邸宅の当時の評判は本当かどうかは分かりませんが、よかったらしく、人々の中世への憧れをかき立てたといいます。

 

 

 

その後、ウォルポールはさらに邸宅の増築を重ね、対称的だった建物は不規則な形態になってゆき、1759年にゴシック風の円塔、1777年には円錐屋根の塔が増築されました。

ストロベリーヒルハウス出典:ストロベリーヒルハウス

▲後に増築された円塔(左)と円錐屋根の塔(中央)

 

 

このようなストロベリー・ヒル・ハウスは、イギリスにおけるゴシック趣味の流行に決定的な影響を与えたと評されています。

 

 

 

ウェストミンスター宮殿と時計台(ビッグベン)

ウェストミンスター宮殿と時計台 ビッグベン出典:The Conversation

 

ロンドンの中心部、テムズ川沿いにある歴代のイギリス国王の居城として使用されていたウェストミンスター宮殿、そして時計台のビッグベンもネオゴシックを代表する建築です。

 

 

 

議会制民主主義誕生の舞台となったこの宮殿は、現在は世界で最も有名と言ってよい国会議事堂で、かつて王宮だった建物は1834年に火災で焼失し、現在あるゴシック様式の壮麗な建築は1860年に再建されたものです。

ウェストミンスター宮殿 ファサード出典:Catherine’s Cultural Wednesdays

▲ゴシック様式を彷彿とさせる尖頭アーチの大窓と天に向かって垂直に伸びるデザイン

 

 

全長約265m、1100を超える部屋、100の階段、中庭数11と、議会政治のシンボルにふさわしい壮大なスケールを誇ります。併設されているビッグ・ベンはロンドンのランドマークになっています。

ビッグベン▲ビッグ・ベンはロンドンにあるウェストミンスター宮殿に付属する時計台の鐘の愛称だが、現在では時計台全体の名称として使われている。1859年5月31日完成。

 

 

テムズ川に対して水平で、横に長く造られた左右対象のデザインである宮殿は、後方から右側にビッグ・ベンを、そして左側に塔(ビクトリアタワー)を置くことによって、テムズ川対岸からの眺めが良くなるようデザインされています。

ウェストミンスター宮殿 外観出典:ArchDaily

▲ウェストミンスター宮殿は目の前のテムズ川対岸からの眺めに重点をおきながらデザインされた

 

 

 

ウェストミンスター寺院

ウェストミンスター寺院 ファサード

▲ウェストミンスター宮殿の隣にある『ウェストミンスター寺院』のバラ窓、フライングバットレスはネオゴシックではなくゴシック様式のものなので注意が必要

 


ウェストミンスター寺院
は、ロンドンのウェストミンスター宮殿の通りを挟んですぐ隣にある14世紀末に建設されたゴシック様式のキリスト教会です。

 

 

この寺院をウェストミンスター宮殿と混同してネオゴシックとして紹介しているブログやサイトが多いので十分注意するにゃ。全く違う建物にゃんよ!

 

 

ウェストミンスター寺院出典:WallpaperFlare

▲画像手前のラテン十字の建物がウェストミンスター寺院、すぐ隣がウェストミンスター宮殿

 

 

ウェストミンスター寺院はイギリス中世の大規模なゴシック建築で、もともとは11世紀に建設された教会を1245年にフランスのゴシック建築にならって改装されました。

 

 

 

14世紀末までにおおよそ完成し、その後墓所や塔など20世紀に至るまで長期間にわたり、時代によってさまざまな様式で増改築されています。

ウェストミンスター宮殿 ファサード▲シンメトリーが強調された外観のウェストミンスター寺院

 

フライングバットレス ウェストミンスター宮殿出典:Flickr

▲寺院のフライングバットレスは何度も補修が繰り返されているが、その姿を現代に残している。

 

ウェストミンスター宮殿 出典:Wikimedia commons

▲寺院の聖堂には尖頭アーチやリブ・ヴォールトといった中世ゴシックの特徴が見られる 

 

 

ナンタルカ
ナンタルカ
この「ゴシックがリバイバルする」という様式のネオゴシック様式は、アメリカやイギリスの駅舎、病院、学校などの公共施設にも積極的に採用されましたんにゃ!大学の校舎やキャンパスデザインにネオゴシックを採用というのが流行って、これが東京大学へのゴシック様式採用の源流となったと言われているんにゃー。

 

ビクトリア様式 (ヴィクトリアン様式)

ビクトリア様式 応接出典:MAIN LINE TODAY

▲ビクトリア様式の代表的なリビングルーム。ソファやチェアのファブリックには花や植物のモチーフ、壁面は古典様式のオーダーやフェスツーン装飾が用いられ、重厚なウォルナットやマホガニー材が好まれた。暖炉も必須のインテリアアイテムだった。

 

 

ビクトリア(ヴィクトリアン)様式は、イギリスのビクトリア女王時代(1837~1901年)の様式で、63年7ヶ月という女王の長い在位期間で古代の古典様式や中世のゴシック、近世のバロックなどさまざまな過去の様式をリバイバル(復活・再評価)し、折衷的に自由に組み合わされたのがビクトリア様式です。

 

 

ナンタルカ
ナンタルカ
「このインテリアアイテムと装飾を使っているからビクトリア様式だにゃ!」って分類するんじゃにゃくて、ビクトリア女王時代に流行したインテリア様式を概して「ビクトリア(ヴィクトリアン)様式」って分類しているんだにゃあ〜

 

 

ビクトリア女王の治世時代のイギリスは古代ローマ帝国以上に植民地を広げ、産業革命を経て世界の工場と呼ばれ、大英帝国として最も栄華を誇った時代であり、繁栄の中で人々は自由で豊かな生活様式を楽しみました。

ビクトリア様式出典:HOME KITCHEN MAGAZINE

▲近世に流行した家具が置かれたビクトリア様式のリビングルーム。壁面には装飾的な壁紙が、床にはカーペットが好まれた。右側には暖炉が見える。

 

ヴィクトリアン様式 ビクトリア出典:OLD HOUSE

▲1860年頃のビクトリア様式の住宅。フローリングは塗装された濃い色が使用され、豪華なカーペット、壁には壁紙、装飾には古典様式のドリス式オーダーなどが使用されている。

 

 

ビクトリア女王は9人の子供を授かり、夫婦の仲睦まじさもよく知られ、家庭の幸せを尊重する社会傾向の象徴のような存在としても君臨し、そのためホームスウィートホーム(楽しき我が家) という言葉が流行語になり、近代化が進み中産階級が台頭する中で、インテリアも温かみや親しみのあるテイストへと徐々に変わっていきます。

ビクトリア様式 19th出典:DK Find out

▲19世紀、イギリスの中流階級以上の豪華なカーペットと暖炉のあるリビングルーム。ピアノを弾く母親が座っている椅子の足はカブリオールレッグ(ロココ様式)となっている。

 

 

やがてビクトリア様式は、イギリスの落ち着きや堅実さを愛する国民性の中で熟成され、シックな色合いと上品で深みのあるデザインへと洗練されていきます。

ヴィクトリア様式 ダイニング出典:MAIN LINE TODAY

▲ビクトリア様式は様々な様式の折衷的な様式である為、同じ時代のダイニングルームでもロココやバロックの影響を受けた華やかなデザインのものもあった。この写真のような落ち着いたイギリスのインテリアデザインは当時の日本でも好まれ模倣された。

 

 

ロンドン自然史博物館

Natural History Museum出典:Expedia

▲『ロンドン自然史博物館』のファサード。シンメトリーな外観とアーチが連続したアーケード装飾はロマネスク様式の特徴。

 

 

ロンドン自然史博物館(英: Natural History Museum)は、ロンドンのサウス・ケンジントンにある世界トップクラスの規模を誇る博物館で、ビクトリア時代である1873年に着工し、1880年に完成しました。

 

 

 

ゴシック建築を思わせる外観を持ち合わせながら、古典様式であるローマ時代のアーケード装飾などが見られるビクトリア様式らしい折衷スタイルです。

アーケード 古代ローマ ビクトリア様式出典:Jp.hotels.com

▲古代ローマのアーチ、またはロマネスクのブラインドアーケードをアーチでくり抜いたようなデザインとも取れる装飾。小さなオーダーをまとめた使い方はパッラーディオ様式にも通ずる。

 

 

大ホールの天井には、今までの様式では見られなかった鉄骨の巨大なアーチがその構造を支えています。

自然歴史博物館 出典:GoodFon

ロンドン自然史博物館

▲アーチ構造は鉄よりも強靭な鋼(鋼鉄)が使用されるようになった

 

 

▼古代ローマの古典様式について「?」なら、こちらから復習!▼

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ナンタルカ
ナンタルカ
ビクトリア様式の建築の特徴としては、従来の石や煉瓦(れんが)などの建築材料に加え、鋳鉄・鋼・コンクリートといった新しい工業的材料を積極的に建築に採用したことが挙げられますにゃ!

 

 

 

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お疲れ様でした!

 

 

ここまで読んで頂きありがとうございます。

 

 

19世期の様式について、わからないことやお気づきのことがあればお気軽にご連絡ください。

 

 

では、次回もお楽しみに!

 

 

 

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