こんにちは、しけたむです!
この記事では
- 「有名なデザイナーズチェアについて詳しく知りたい。」
- 「デザイナーズチェアってたくさんあり過ぎて、どれを覚えればいいのだろう・・・。」
という皆様に向けて、これだけ覚えれば大丈夫!
絶対に知っておくべき有名なデザイナーズチェアについて画像で解説します。
▼デザイナーズチェアの歴史的名作【中編】▼
▼デザイナーズチェアの歴史的名作【後編】▼
デザイナーズチェアとは?
出典:Manhattan home design
▲1961年の『PLAY BOY』7月号の特集記事で掲載されたミッドセンチュリー期のデザイナーとデザイナーズ家具。ジョージ・ネルソン(左端)、エーロ・サーリネン(中央左)、ハリー・ベルトイア(中央右)、チャールズ・イームズ(右から2番目)
デザイナーズチェアとはそのままですが、建築家やデザイナーなどによってデザイン・開発された椅子の総称です。
有名なデザイナーズチェアの多くは、製作当時、まだ新しい素材や技術を用いて試行錯誤を重ねて生み出されたものばかり。
そんなデザイナーズチェアは、デザイナーたちの驚くべきアイディアと血のにじむような努力の結晶であり、芸術作品とも言えるでしょう。
出典:The STUDY
▲注意深く映画やドラマを見ていると、デザイナーズチェアが頻繁に使用されているのが分かる。上はミース・ファン・デル・ローエがデザインしたバルセロナチェア。『007 カジノ・ロワイヤル』(2006)にて。
デザイナーズチェアの購入方法
▲デンマークのデザイナー アルネ・ヤコブセンによってデザインされた『エッグチェア(左)』と『スワンチェア(右)』
デザイナーズチェアを買いたい場合は、以下の3つの購入方法から選ぶことができます。
①正規品を買う
「Kartell(カルテル)」や「Herman Miller(ハーマンミラー)」など、デザイナーズチェアの正規品を製造しているメーカーの、いわば「純正品」を正規販売店で購入する方法です。
非常に高品質で、デザイナーの魂が込められた信頼性の高い製品であることが特長で、保証やアフターサービスまで付いているので安心感もありますが高額なものが多く、100万円以上するチェアも珍しくありません。
②リプロダクト品(ジェネリック品)を買う
出典:楽天市場
デザイナーによって作られた製品の多くには、意匠権(いしょうけん)が登録されています。
意匠権とは、家具デザインや建築物などの意匠(デザイン)を保護する知的財産権のことで、特許庁に出願し、審査を受け、登録されてからはじめて認められます。
リプロダクト品(ジェネリック品)とは、この意匠権が無い製品、または意匠権の期限が切れた製品を、オリジナルデザインを模倣して生産した製品のことです。
なんといっても正規品と比べて格安で購入できるのが特長ですが、その品質は価格相応で、正規品との見分けがつきにくいリプロダクト品もありますし、デザインや質の違いがあからさまにお粗末な製品も多いです。
また基本的に保証やアフターサービスなどは期待できません。
しかし、憧れのデザイナーズチェアとそっくりの製品を格安で手に入れることが出来ることから一定の需要があります。
③ヴィンテージ品(アンティーク品)を買う
出典:JOHN MORAN
デザイナーズチェアのデザイナー本人が、生前に直接デザインを手掛けたヴィンテージ品(アンティーク品)を購入する方法です。
この発売当時のヴィンテージ(アンティーク)チェアと、現在正規品として販売・流通しているチェアでは、使用している素材や生地、細かい仕様が変更になっていることが多いため、また既に販売していないことからもプレミア価格が付いており、高価なものが多くなっています。
中古品ではありますが、傷や経年劣化が新品には無い「味わい」としての魅力があり、熱心なコレクターなどに選ばれています。
デザイナーズチェアの歴史的名作①〜⑬
①『No.14』(1859年)
出典:TORNET
▲ミハエル・トーネットの代表作『No.14』は、19世期だけで5,000万脚以上、現在までで2億脚以上販売されているモンスター級の名作チェア。
『No.14』は、1859年にドイツとオーストリアで活躍した家具デザイナーのミハエル・トーネットによってデザインされたチェアで、19世紀の曲木椅子の傑作として名高く、フォルムの単純さと生産性のよさで、誕生から現在までで2億脚以上を売り上げたといわれています。
ミハエル・トーネットはドイツの家具メーカー『THONET(トーネット)』の創業者で、彼は1830年代にブナやビーチなどの木材を機械で曲げて使用した曲木(まげき)技術(※)を完成させて家具の量産化を成功させました。
出典:Cultura.hu
▲ミハエル・トーネットは一般大衆向けに大量生産が可能なチェアを初めて製作した人物で、『No.14』は世界初のデザイナーズチェアとも呼ばれる。
※曲木(まげき)とは
「ベントウッド (bentwood)」とも呼ばれる、木材を人工的に曲げて曲線的な形状や模様に成形する技法のこと。
1819年頃から家具製作をはじめたミハエル・トーネットは、当時の木はまっすぐな素材という考えが支配的だった時代において、1830年代に曲木の技術の開発に成功した。
1841年にはフランス、イギリス、ベルギーで特許を取得し、曲木の技術による椅子を各地に展示して注目を集める。
椅子などの家具の製造に用いられるほか、かつて木製であったテニスラケットや自転車の車輪も曲木によって製造されていた。
トーネットの開発した曲木椅子は、棒状にカットしたビーチ材を100度を超える高熱で約6時間蒸し、手作業で曲げながら鋳型へはめ込むというプロセスで作られていて、当時としては斬新的な技術でした。
出典:THONET
▲現在も変わらぬ工程で一つ一つ製造されている『THONET』の曲木椅子
曲木技術により多くのパーツを結合させる必要が無くなると、最小限の部品でチェアを作ることが可能になります。
組み立ても容易であったことから分解した状態で輸送する「ノックダウン方式」が開発され、現代につながる大量生産・大量輸送を可能にした『THONET』の家具は「モダン家具の元祖」と呼ばれました。
出典:minniemuses
▲ノックダウン方式により1㎥の箱に36脚のチェアを輸送でき、大量輸送・コスト削減を可能にした。
出典:Connox
▲現在は『214』という商品名で『THONET』から販売されている。
▼ミハエル・トーネットはこちらで紹介しています▼
②『No.209』(1871年)
出典:BRUTUS
▲簡素で普遍的なデザインの曲木椅子『No.209』
『No.209』は、ミハエル・トーネットの息子であるアウグス・トーネットがデザインしたチェアで「ウィーンチェア」とも呼ばれる曲木椅子です。
ミハエル・トーネットがデザインした『No.14』と同様に、『No.209』も最小限の部品だけで構成されたノックダウン方式で作られています。
歴史的な建築家であるル・コルビュジエが愛用したことでも知られ、「コルビュジエ・チェア」という愛称でも有名です。
出典:ArchiExpo
▲コルビュジエの愛した『No.209』は豊富なカラーバリエーションがあり、インテリアに合わせてセレクトすることができる。
③『HILL HOUSE 1(ヒルハウス1)』(1902年)
出典:DOPA
『HILL HOUSE 1(ヒルハウス1)』とは、スコットランドの建築家、画家、家具デザイナーであるチャールズ・レニー・マッキントッシュによってデザインされた木製のチェアです。
椅子にハシゴを組み合わせたようなデザインが特徴的なヒルハウスは、その見た目から「ラダー(ハシゴという意味)バックチェア」とも呼ばれています。
この背もたれ部分をよく見ると、ハシゴが最上部で格子に繋がっていくデザインとなっていて、どこか日本の伝統的な装飾を思い起こさせます。
これはマッキントッシュが日本建築からの影響を強く受けていた為であり、彼は椅子をただ座るためだけの道具としてでは無く、インテリアとして観賞するものとしても考えていたという意図があるそうです。
出典:National Museums Scotland
▲チャールズ・レニー・マッキントッシュ(1868年 – 1928年)は、アーツ・アンド・クラフツ運動の推進者として、またスコットランドにおけるアール・ヌーボーの第一人者として活躍した。
▼マッキントッシュはこちらで紹介しています▼
マッキントッシュは、このヒルハウスを彼の代表建築作品である「ヒルハウス」の寝室に置くためにデザインしました。
ヒルハウスとは、スコットランド地方の伝統的な民家様式であるスコティッシュ・バロニアルスタイルを元に、彼の特性である幾何学的なデザインを取り合わせたデザインで設計された住宅です。
出典:dazeen
▲「ヒルハウス」の寝室に置かれているヒルハウス。この家に住んでいたのは、スコットランドで出版業を営んでいたウォルター・W・ブラッキーという人物で、マッキントッシュのよき理解者として彼をサポートし、50年間このヒルハウスで暮らした。
④『RED AND BLUE』(1917年)
出典:Cassina.ixc
『RED AND BLUE(レッド・アンド・ブルー)』とは、オランダの建築家、デザイナーのヘリット・トーマス・リートフェルトによってデザインされた、赤・青・黄の三原色で構成されたモンドリアンカラーの木製チェアです。
日本語では『赤と青の椅子』と表記されます。
リートフェルトはオランダの近代デザインのムーブメント「デ・ステイル」の中心人物であったピート・モンドリアンが描いた絵画『赤・青・黄のコンポジション』からインスパイアされて、モンドリアンの新造形主義を三次元へ投影する最初の試みとしてこの赤と青の椅子を製作しました。
▲『RED AND BLUE』の無塗装品に座るリートフェルト(中央)と家具工場の仲間たち(1919年頃)
出典:WIKIART
▲リートフェルトが影響を受けたデ・ステイルのピート・モンドリアンが描いた作品『赤・青・黄のコンポジション』
ピート・モンドリアンの平面的な絵画を、リートフェルトがあたかも立体的なチェアに置き換えたような作品で、その構造はフレームとアームの構成に二種類の大きさの角材を使い、組み立ての間隔は角材の断面の倍数でとられるなど、緻密に計算されたデザインとなっています。
▼デ・ステイル、ピート・モンドリアンって何?て方はこちらから▼
⑤『Wassily chair(ワシリーチェア)』(1925年)
『Wassily chair(ワシリーチェア)』とは、ハンガリー出身の20世期を代表するモダニズム建築家であり、家具デザイナーのマルセル・ブロイヤーによってデザインされた世界で初めてスチールパイプを用いて製作された椅子です。
マルセル・ブロイヤーがまだバウハウスの家具工房で指導をしていた頃、自転車のハンドルに使用されていたスチールパイプに着想を得て、画家のワシリー・カンディンスキーの為にデザインされました。
ワシリーチェアという名称は、彼の名前から付けられています。
出典:RTF
▲ワシリーチェアに腰掛けるブロイヤー。自転車用の工具を使って簡単に組み立て・分解が可能。
この当時、椅子というものは木材を使用して作られるのが一般的でした。
そこに金属であるスチールパイプを用いたという事がまず画期的で、まだ工業用の素材であった金属を家具の素材として利用したことで安価に、軽く、そして大量生産が可能な製品へ導く基礎を作ったというわけです。
この作品の後からル・コルビジエやミース・ファン・デル・ローエといった世界の大物デザイナーが家具にスチールパイプを使い始めたことを鑑みれば、いかにこのワシリーチェアがデザイン界に与えた功績が大きいかが伺い知れます。
出典:free3D
▲ワシリーチェアは今もバウハウス・デッサウ校に置かれている
▼マルセル・ブロイヤーやバウハウスについて▼
⑥『Cesca chair(チェスカチェア)』(1928年)
チェスカチェアは、ワシリーチェアと並ぶマルセル・ブロイヤーの代表的な作品で、ブロイヤーの娘の「フランチェスカ」にちなんで名付けられました。
カンチレバー構造の名作として様々なシーンで使用されていて、「最も有名な金属製チェア」の1つにも数えられるほどの作品です。
カンチレバー構造とは「片持ち構造」のことで、通常は4本ある椅子の脚ですが、手前の2本のみで荷重を支え、椅子の奥が浮いたような状態になっている構造のことです。
後脚のない構造なので、腰を下ろした時の適度な弾力性によって快適な座り心地を実現していて、一本の屈強なスチールパイプがその荷重を支えています。
出典:LEXUFUR
▲チェスカチェアにはアームチェアタイプもあり。アメリカの家具メーカー『Knoll(ノル)』から販売されている。
⑦『LC1(スリングチェア)』(1928年)
出典:MoMA
LC1(スリングチェア)は、スイスで生まれてフランスで活躍した建築家であるル・コルビュジエと、彼の従兄弟のピエール・ジャンヌレ、コルビュジエの弟子であるシャルロット・ペリアンとの共同デザインによって制作されたスチールパイプ製の椅子です。
「Le Corbusier(ル・コルビュジエ)」の名前の頭文字をとって命名された『LC1』は、「住宅は住むための機械である」というコルビュジェの建築理念を体現したかのような装飾を排して機能性が追求されたデザインとなっています。
出典:indas
▲背もたれが姿勢に応じて動くのが特徴で、アームはフレームに厚革を掛けただけのシンプルな構造となっている。
20世紀に作られた椅子の中でマスターピース(傑作)のひとつに数えられる名品中の名品である『LC1』は、イタリアの家具メーカー『Cassina(カッシーナ)』にて取り扱いされています。
▼ル・コルビュジエはこちらで紹介しています▼
⑧『LC4(シェーズロング)』(1928年)
LC4(シェーズロング)とは、LC1(スリングチェア)と同様に、ル・コルビュジエと、彼の従兄弟のピエール・ジャンヌレ、コルビュジェの弟子であるシャルロット・ペリアンとの共同デザインによってデザインされたスチールパイプを使用した寝椅子です。
1929年にパリの美術展覧会「サロン・ドートンヌ」で発表され、「休養の為の機械」とル・コルビュジエが呼んだ寝椅子です。
体の線に合わせて綿密にデザインされた背のカーブと、弓形のパイプをずらすことによって寝る角度を自由に変えられることで、至福の座り心地をもたらします。
出典:CGarchitect
▲寝る角度の調整は手動で行う。
独創的かつ革新的でありながら優美なボディラインを持つこの作品は、80年以上経った現在でも「世界一有名な寝椅子」といわれており、20世紀を代表するマスターピースのひとつです。
▼ル・コルビュジエはこちらで紹介しています▼
⑨『バルセロナチェア』(1929年)
出典:FLYMEe
1929年、スペインで開催されたバルセロナ万国博覧会で、ドイツ館の設計依頼を受けたミース・ファン・デル・ローエがスペイン国王アルフォンソ13世夫妻のためにオットマンと共にデザインしたのがバルセロナチェアです。
このバルセロナチェアの最大のポイントは、脚部のエックス型のフレームデザインにあります。
通常金属製の椅子の脚部は、スチールパイプを垂直に立てて座面を支えるような形状が取られますが、バルセロナチェアはスチールバーを使用して溶接して仕上げることにより、流れるような曲線でエックス型の脚部デザインを実現し、無駄のない完璧なフォルムを生み出しています。
▲フレームのクロムスチールは職人の手で丁寧に磨かれ、シートクッションと背もたれのクッションはフレームのカーブにフィットするようにデザインされている。
ミースの「God is in the details(神は細部に宿る)」という言葉の通り、細部までこだわり抜いて作り上げられたデザインとなっているバルセロナチェア。
特徴的なエックス型のレッグデザインは、古代ギリシャの腰掛けである「ディフロス」をモチーフにしたとも言われています。
▼古代ギリシャの腰掛け『ディフロス』はコチラ▼
バルセロナチェアはMoMA(ニューヨーク近代美術館)にも永久コレクションされていて、その特徴的なデザインは今日さまざまな場面で見られます。
出典:The STUDY
▲注意してみると映画などでもよく使用されているのを目にする。『007 カジノ・ロワイヤル』(2006)
▼ミース・ファン・デル・ローエはこちらから!▼
⑩『41 Paimio(パイミオ・チェア)』(1932年)
▲アルヴァ・アアルトは1924年から成形合板の開発を進めると、1932年に『アームチェア 41 パイミオ』を完成させ、家具デザインの歴史に衝撃と革命をもたらした。
パイミオ・チェアとは「アームチェア 41 パイミオ」とも表記される、フィンランドの偉大な建築家アルヴァ・アールト(アアルト)とその妻アイノによって設計された成形合板の椅子です。
フィンランドのパイミオという街にあるサナトリウム(結核療養所)のために1930年から1931年にかけて設計され、1932年にフィンランドの首都ヘルシンキで開催された北欧建築フォーラムで初公開し、同年に製品化されました。
出典:artek
▲サナトリウムのパイミオチェア。この椅子はアアルトが家具を生産・販売するために設立した会社『Artek(アルテック)』の主要な商品となり、パイミオチェアによってインテリアデザイナーとしての地位を確固たるものとした。
アルヴァ・アアルトは、「ラメラ曲げ木」と呼ばれる成形合板の新技術を開発し、パイミオチェアに用いています。
これは数ミリメートルの厚さにスライスされた「ラメラ (lamella)」 と呼ばれる、フィンランド産のバーチ (birch, 白樺) の長い板を、木目が同じ方向を向くようにして何枚も重ね合わせた積層合板を曲げることによって強く美しい曲面をつくり出す、という技術のことです。
出典:Thisismedia
▲アルヴァ・アアルト(1898年 – 1976年)は、フィンランドが生んだ20世紀を代表する世界的な建築家でありデザイナー。その活動は建築から家具、ガラス食器、絵画と多岐にわたる。家具はフィンランドの家具メーカー『Artek(アルテック)』で現在も販売されている。
▼チャールズ&レイ・イームズはこちらで紹介!▼
⑪『ZIG-ZAG(ジグザグチェア)』(1934年)
ジグザグチェアとは、オランダの建築家、デザイナーであるヘリット・トーマス・リートフェルトがデザインした『RED AND BLUE』に次ぐ代表作品で、直線的な木の板だけで構成された椅子です。
製作当時はスチール材を曲げ加工していたのですが、その後イタリアの優れた木工技術により、4枚板の組継ぎを隅木(すみぎ)で補強する手法を用いたこの椅子は、一切金属のジョイント類を使用せずに作られています。
出典:Мебель и проекты
▲ジグザグチェアにはレッド、ブルー、イエローなどのモンドリアンカラーのカラーバリエーションが揃えられている。
繊細な美しいデザインからは想像もできない頑丈さと、座り心地の良さを兼ね備えたリートフェルトの傑作は、シンプルなデザインゆえにどのようなインテリア空間にも持ち込みやすくなっています。
▼へリット・トーマス・リートフェルトはこちらでご紹介▼
⑫『The Eva Chair(エヴァチェア)』(1935年)
出典:HOPP HOME
The Eva Chairとは、スウェーデンの家具デザイナー、建築家のブルーノ・マットソン(1907-1988)が1935年に発表した木製の椅子です。
肘掛けやフレームには成型合板が使用されていて、なんとも美しい曲線が形作られています。
また座面と背もたれにはリネン(麻)のベルトが編み込まれていて、座った時に適度な弾力を感じる事が出来ます。
▲スウェーデンのスパに設置されている『The Eva Chair』
出典:MALEFOR
▲1934年に発表されたラウンジチェア『Pernilla Chair』も彼の代表作である。『The Eva Chair』とデザインが似ているが、より休息性が高くオットマンを組み合わせることができるようになっている。
ブルーノ・マットソンとは、1907年にスウェーデンで5代続く家具工場の息子として生まれ、家具職人として椅子の安楽性について自らの工房を作って研究を行った人物です。
研究は1931年から始められ、当時ブームとなっていた機能主義に影響をされながら人間工学に基づいた美しいフォルムを築き上げることに成功しました。
▲ブルーノ・マットソンの椅子は、その座り心地の良さはもちろん、木の温もりを感じられるシンプルなフォルムや、機能性も重視したデザインで瞬く間に人気となった。
1935年に発表された『The Eva Chair』はブルーノ・マットソンの代表作となり、現代でも世界中の人々から愛される椅子として知られています。
1974年に来日して日本でも活躍したマットソンは、1974年に「スカンジナビアデザイン賞」を受賞、1981年にはスウェーデン政府より「プロフェッサー」の称号が授与されました。
▼スカンジナビアンデザインはこちらでご紹介!▼
⑬『Landi Chair(ランディチェア)』(1938年)
出典:Vitra
Landi Chair(ランディチェア)とは、スイスのデザイナーであるハンス・コレーが1938年に発表したアルミニウム製の椅子です。
ランディチェアはハンス・コレー自身初の大量生産可能な家具で、1939年にチューリッヒで開かれたスイス国際博覧会のためにデザインされ、博覧会の名前「ランデスアウスシュテルング」にちなんで「ランディチェア」と名付けられました。
出典:Vertigo home
▲ハンス・コレー(1906-1991)は、生涯を通じて、機能性とシンプルさを追求したデザイナー。 1950年代以降は主に画家、彫刻家としても活躍し、プロダクトデザインだけでなく、アートや建築においても多くの作品を残した。
ランディチェアの座面と脚部には、当時まだ珍しかったアルミニウムが使用されていて、座面と背もたれに空けられた91ヶ所の穴によって、驚くほど軽量に設計されています。
また、座面に穴が開いていることで雨水がたまらないという利点もあります。
出典:H.L.D
▲ランディチェアにはアルミの酸化を防ぐためにアルマイト加工が施されていて、耐久性の高さからアウトドアでも使用することができる。また最大6脚のスタッキングが可能。
▼アルマイト加工はこちらで詳しく紹介しています▼
お疲れ様でした。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
わからないことや分かりにくい箇所があれば、ぜひお問い合わせよりご連絡ください。
次回もお楽しみに!
▼次回、デザイナーズチェアの中編はこちら▼